医療情報

マスク着用の緩和で感染予防はほんとに大丈夫!?

マスク着用を緩和する動きがみられています。

厚生労働省の専門家会合では、マスクの着用について「屋外では周りの人との距離が十分にとれなくても会話が少なければ必ずしも必要ない」という考えをまとめました。

これから暑い季節がやってくるので、マスク着用が嫌な方にはかなりの朗報というところでしょうが…本当に大丈夫なのでしょうか?

新型コロナウイルスの2次感染率の検証

米国アイオワ州の公衆衛生当局が、新型コロナウイルスへのマスクの2次感染率に与える影響を検証しています。

検証方法は、感染者と被曝露者の一方がマスクをしていないときと、両者がマスクをしているときの2次感染率を確認したものです。

検証結果は、どちらか一方がマスクをしていないときの2次感染率が25.6%(151/590)で、両者がマスクをしているときの2次感染率は12.5%(47/376)となっています。

この結果は5~18歳でも同様で、2次感染率が両者がマスクをしているときの方が低いことが確認できます。

なお曝露時間2時間以上の2次感染のオッズ比は1.92でした。

2次感染率
(%)
どちらか一方がマスクをしていないとき25.6(151/590)
両者がマスクをしているとき12.5(47/376)

オッズとは「見込み」のことで、ある事象が起きる確率pの、その事象が起きない確率(1-p)に対する比を意味します。

マスク着用の効果は大きい

マスク着用による2次感染率を比較すると、お互いにマスクを着用することで感染率が半減していることが分かり、マスクによる予防効果が大きいことが確認できます。

このことから、厚生労働省の専門家会合において「屋外では周りの人との距離が十分にとれなくても会話が少なければ必ずしも必要ない」という考えは、感染予防を考えると微妙なことが分かります。

「屋外で会話が少ない」という状態

厚生労働省の専門家会合が考える「屋外では周りの人との距離が十分にとれなくても会話が少なければ必ずしも必要ない」という状況ですが、本当に可能でしょうか?

まず、”会話が少なければ”ということなので複数人という状況ではなさそうです。

屋外で複数人のグループで会話が少ないなんて、逆にどうなんだろうって思ってしまいます。

また、屋外で一人で過ごしていたとしても、電話で誰かとずっと話していれば”会話がすくなければ”ということを満たせなくなってしまいます。

このことを踏まえると、厚生労働省の専門家会合が考える「屋外では周りの人との距離が十分にとれなくても会話が少なければ必ずしも必要ない」という状況は、”ほぼしゃべらずに一人で散歩などをしている状態”ということでよいのでしょうか?

まとめ|マスク着用の緩和はどう対応する?

岸田総理大臣はマスク着用の緩和に対して「今の段階で緩和することは現実的ではない」としたうえで、「人との距離が十分とれれば屋外での着用は必ずしも必要ではない。特に気温や湿度が高い時には熱中症のリスクが高くなるので人との距離が十分ある場合には外すことを奨励している」と述べています。

いくら”ほぼしゃべらずに一人で散歩などをしている状態”であっても、電話が来れば話をしないといけません。

そのことを考えると、マスクを着用しながら大丈夫そうな場所では外すといった対応でいいのかもしれません。