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認知症の4つのタイプ|自宅でできる簡易チェック診断!!

認知症の方は高齢化に伴って増加しており、日本国内では2020年時点で600万人以上と推定されています。

団塊の世代がすべて75歳以上になる2025年以降はさらに認知症の方が増加すると考えられており、その対策については大きな課題になっています。

今回は認知症の種類や診断方法についてまとめていきます。

認知症とは?

認知症はいろいろな原因によって脳の細胞が死んでしまったり、正常に働かなくなってしまったりしたために、さまざまな障害が起きてしまった状態のことを言います。

現在の医療では認知症を治すことはできませんが、早期に治療を始めることで進行を遅らせることができます。

そのため、早期に発見し治療を開始することが重要になります。

「もの忘れ」=「認知症」ではない!?

”もの忘れ”が増えてくると”認知症”ではないかと考える方がいらっしゃいますが、「もの忘れ」=「認知症」ではなく、加齢を原因にするものと認知症を原因にするものがあります。

加齢を原因とするもの忘れは、体験した物事の一部を忘れているものでありヒントがあれば思い出すことができます。

ですが、認知症を原因とするもの忘れは、物事全体をすべて忘れているのでヒントがあっても思い出すことができません。

加齢によるもの認知症によるもの
原 因老化病気
体験したこと一部を忘れるすべてを忘れる
もの忘れの自覚ありなし
日常生活支障なし支障あり

認知症の4つのタイプ

認知症は原因によって症状が異なり、下に挙げた4つの代表的なタイプに分けられます。

  1. アルツハイマー型認知症
  2. 血管性認知症
  3. レビー小体型認知症
  4. 前頭側頭型認知症

この4つのタイプの認知症の中で最も多い認知症は「アルツハイマー型認知症」であり、全体の約70%を占めます。

認知症の4つのタイプ|自宅でできる簡易チェック診断!!

①アルツハイマー型認知症

脳に「アミロイドβ」や「タウ」などの異常なたんぱく質がたまり、海馬(脳の中で記憶を司る部分)などの脳神経細胞が壊れて萎縮することで、記憶障害や判断力の低下などの症状が出現します。

脳のMRI画像を確認すると海馬を中心に脳の萎縮が確認できます。

  • 認知機能障害(もの忘れなど)
  • もの盗られ妄想
  • 徘徊  など

②血管性認知症

脳卒中(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血など)により脳神経細胞が死滅することで起こります。

はっきりした脳の萎縮はみられないことが多く、脳卒中により障害されなかった脳神経細胞の機能は残るので、症状はヒトによりさまざまです。

  • 認知機能障害
  • 手足の痺れ・麻痺
  • 感情のコントロールがうまくいかない  など

③レビー小体型認知症

「レビー小体」という異常なタンパク質が脳神経細胞を壊すことで起こります。

はっきりとした脳の萎縮はみられないことが多く、もの忘れよりも幻視や妄想が良く起こります。

パーキンソン病のような症状(手足のこわばり、歩行がうまくできないなど)が起こることも特徴です。

  • 認知機能障害(注意力、視覚など)
  • 認知の変動
  • 抑うつ
  • パーキンソン症状
  • 睡眠時の異常言動
  • 自律神経症状  など

④前頭側頭型認知症

脳の前頭葉や側頭葉の脳神経細胞が死滅することで起こり、他の認知症にはみられにくい特徴的な症状を示します。

脳の中で前頭葉は「人格・社会性・言語」を、側頭葉は「記憶・聴覚・言語」を主に司っているため、前頭側頭型認知症を発症するとこれらが正常に機能しなくなってしまいます。

人が変わったようになり、身だしなみの乱れや万引き、暴力的な行動などが現れます。

  • 社会性の欠如
  • 抑制が効かなくなる
  • 同じことを繰り返す
  • 感情の鈍麻
  • 自発性な言葉の低下  など

認知症のチェック!!

医療機関で認知症の診断を行うときには主に「長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)」という認知機能テストが使われています。

この認知機能テストは9つの評価項目、30点満点で構成されていて、20点以下だった場合に認知症の疑いが高いとされています。

テストは質問形式で行い5~10分程度で終わるため、誰でも簡単に行うことができます。

家族の方で認知症が疑われる方がいる場合にはお家でしてみてもよいかもしれません。

長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)の点数だけでは認知症の確定診断は行いません。テスト時の体調、職歴、生活歴、服薬状況などや、脳の画像診断なども診断の材料として用いて診断されます。

長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)

30点満点中20点以下で認知症の疑いが高いと判定されます。

質問内容評価ポイント/点数
(合計30点)
①年齢
年齢はいくつですか?
±2年の誤差まで正解
(1点)
②日付の見当識
今日は何年ですか?
何月ですか?
何日ですか?
何曜日ですか?
それぞれ答えられたら正解
(各1点/計4点)
③場所の見当識
私たちが今いるところはどこですか?
・自発的に正解(2点)
・5秒おいて家ですか?病院ですか?施設ですか?のヒントで正解(1点)
④即時記憶
・3つの言葉を言ってください。あとでまた聞きますので覚えておいてください。
(1)桜、猫、電車
(2)梅、犬、自動車
※いずれか1つを採用
それぞれ答えられたら正解
(各1点/計3点)
⑤計算
・100から7を順番に引いてください。
・93が答えられたら正解(1点)
・86が答えられたら正解(1点)
⑥逆唱
・私がこれから言う数字を逆から言ってください。(6-8-2、3-5-2-9)
・「2-8-6」と答えられたら正解(1点)
・「9-2-5-3」と答えられたら正解(1点)

(計2点)
⑦遅延再生
・先ほど覚えてもらった言葉をもう一度言ってみてください。
・自発的に正解(各2点)
・ヒントで正解(各1点)
(計6点)
⑧視覚記憶
・これから5つの品物を見せます。それを隠しますので何があったか言ってください。(時計、鍵、タバコ、ペン、硬貨など必ず相互に無関係なもの)
・1品正解につき1点
(各1点/計5点)
⑨語想起・流暢性
・知っている野菜の名前をできるだけ多く言ってください。
0~5個以内しか答えられない/0点
・6個答えられた場合/1点
・7個答えられた場合/2点
・8個答えられた場合/3点
・9個答えられた場合/4点
・10個以上答えられた場合/5点

①年齢

「年齢はいくつですか?」と質問し、2年までの誤差は正解にします。例えば、90歳の場合には88歳、89歳、90歳、91歳、92歳が正解になります。

正解の場合:1点

②日付の見当識

「今日は何年何月何日何曜日ですか?」と質問し、それぞれ答えられたら正解にします。○年が正解で1点、○月が正解で1点、○日が正解で1点、○曜日が正解で1点となり、全部正解なら合計4点になります。

それぞれが答えられたら正解

各1点で合計4点

③場所の見当識

「私たちが今いるところはどこですか?」と質問し、自発的に答えられたら正解(2点)にします。答えられない場合には5秒おいて「家ですか?病院ですか?施設ですか?」とヒントを出して答えられても正解(1点)にします。

自発的に正解(2点)

ヒントで正解(1点)

④即時記憶

「これから言う3つの言葉を言ってみてください。あとでまた聞きますので覚えておいてください。」と伝え、「桜、猫、電車」か「梅、犬、自動車」のどちらかを復唱してもらいます。それぞれ復唱できたら正解(各1点)にします。

それぞれが答えられたら正解

各1点で合計3点

⑤計算

「100から7を順番に引いてください。100ー7は? それからまた7を引くと?」と質問をします。最初の答えが不正解の場合には質問を打ち切ります。

93が答えられたら正解(1点)

86が答えられたら正解(1点)

⑥逆唱

「私がこれから言う数字を逆から言ってください。」と伝え、「6-8-2」「3-5-2-9」の2つの数列について答えてもらいます。

「2-8-6」と答えられたら正解(1点)

「9-2-5-3」と答えられたら正解(1点)

⑦遅延再生

「先ほど覚えてもらった言葉をもう一度言ってみてください。」と伝え、”④”で覚えてもらうようにお願いした「桜、猫、電車」か「梅、犬、自動車」を言ってもらいます。自発的に回答があれば各2点、もし回答がない場合には「植物、動物、乗り物」とヒントを与えます。ヒントを与えて正解した場合には各1点になります。

自発的に正解(各2点)

ヒントで正解(各1点)

⑧視覚記憶

「これから5つの品物を見せます。それを隠しますので何があったか言ってください。」と伝え、時計・鍵・タバコ・ペン・硬貨など必ず相互に無関係なものを見せてから隠します。その後、隠したものを答えてもらいます。

1品正解につき1点

各1点で合計5点

⑨語想起・流暢性

「知っている野菜の名前をできるだけ多く言ってください。」と伝え、思いつく限り野菜の名前を答えてもらいます。答えることができた野菜の数に応じて点数をつけます。

0~5個以内しか答えられない/0点

6個答えられた場合/1点

7個答えられた場合/2点

8個答えられた場合/3点

9個答えられた場合/4点

10個以上答えられた場合/5点

まとめ

認知症はただのもの忘れではなく、原因によってその症状も様々です。

早期発見、早期治療がとても有効なので、気になる方は脳神経外科や脳神経内科の診療科がある医療機関で検査をするようにしましょう。

長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)を行って、簡易的に検査を行うことも有効です。