新型コロナウイルスの影響により、マスクをして生活をすることが当たり前の毎日になりました。
また、手指のアルコール消毒や手洗いうがいも当然のようにしている方が多くなっています。
その影響なのかインフルエンザにかかる方が少なくなったように感じますが、インフルエンザウイルスが世の中からなくなったわけではありません。
今回は、そんなインフルエンザの症状や検査についてまとめてみました。
インフルエンザにかかると高熱が出る理由
ヒトは呼吸をして口・鼻から空気を肺に取り込んでいます。
この空気の通り道を気道といいますが、気道の細胞はそのバリア機能によってウイルスが体に侵入しないように守るはたらきをしています。
インフルエンザウイルスが口・鼻から侵入し気道の細胞に感染すると、そのウイルスを倒そうとウイルスを攻撃する成分が産生されます。
このときに産生される成分が”炎症性サイトカイン”です。
サイトカインはウイルスを倒すために産生されるので、インフルエンザウイルスの増殖に合わせて過剰に産生されます。
そして、このサイトカインの影響でヒトは高熱を出してしまいます。
また、それと同時に頭痛、咳、倦怠感、関節痛などのインフルエンザ症状も出現します。
どのような症状だとインフルエンザに感染したと考えられる?
インフルエンザにはA型・B型・C型の3つがあり、それぞれ症状が異なります。
この中で、C型のインフルエンザは1月~6月が流行期で一度感染すると免疫ができ再び感染することは少ないと言われています。
A型とB型のインフルエンザの主な症状は、A型インフルエンザでは高熱に加え咳や鼻水などが、B型インフルエンザでは発熱に加え腹痛や下痢などの消化器症状を伴うと言われています。
A型 | 高熱、悪寒、筋肉痛、咳、鼻水など |
B型 | 発熱、腹痛、嘔吐、下痢など |
C型 | 発熱、咳、鼻水など |
インフルエンザ流行期にこれらの症状がある場合には、インフルエンザへの感染を疑い、検査を行います。
後述しますが、感染していても検査を行うタイミングで”陰性”と結果が出る場合もあるので注意が必要です。
ワクチンを接種してもインフルエンザにかかるのはなぜ?
たまに、インフルエンザワクチンを接種することでインフルエンザにかかることがないと勘違いされている方がいますが、これは間違いです。
インフルエンザワクチンを接種していてもインフルエンザにはかかることがあります。
では、なぜ予防接種を行うのか不思議ですが、ワクチンを接種することで
- 感染後に発病する可能性を低減させる効果がある
- 発病した場合の重症化防止を期待できる
2つのことを期待することができます。
毎年予防接種でつくられるインフルエンザワクチンは、A型とB型のどちらが流行するかを予測してつくられています。
「感染」と「発病」に対するワクチンの効果の違い
ワクチンの効果に「感染後に発病する可能性を低減させる効果がある」とありますが、”感染”と”発病”の意味は異なります。
インフルエンザへの”感染”とワクチンの効果
インフルエンザにかかるときには、インフルエンザウイルスが口・鼻・眼の粘膜などから体内に侵入することから始まりますが、体の中に入ったウイルスが細胞に侵入して増殖していく状態を「感染」と言います。ちなみに、ワクチンには「感染(ウイルスの増殖)」を完全に抑える働きはありません。
インフルエンザの”発病”とワクチンの効果
インフルエンザに感染し体の中のウイルスが増えると、数日の潜伏期間を経て発熱などのインフルエンザ症状が出現しますが、このインフルエンザ症状が出現した状態を「発病」と言います。ワクチンにはこの「発病」を抑える効果が一定程度認められています。
インフルエンザウイルス検査で”陰性”ならば感染していないのか?
インフルエンザに感染した恐れがある場合には、病院やクリニックでインフルエンザの検査を受けます。
現在、医療機関で行われているインフルエンザの検査は、そのほとんどがインフルエンザ抗原を検出する迅速検査になります。
インフルエンザ抗原を検出する迅速検査は、鼻汁や咽頭ぬぐい液を採取し、その中にインフルエンザ抗原がいるかをキットで検査するものです。
- 数分程度で検査結果が分かる
- 結果によってすぐに治療を始められる
迅速検査の一番のメリットは、すぐに検査結果を把握することができることで、インフルエンザに感染していた場合にはすぐに治療を開始することができます。
- 感度が50~80%程度しかない
- 偽陰性になることがある
迅速検査は簡便ではあるものの感度が50~80%しかなく、体の中のインフルエンザウイルスがまだ少量の場合には、偽陰性になってしまうことがあります。
そのため、”陰性”と判断された翌日や数日後に、症状が悪化してから再度迅速検査をすると”陽性”と結果が出ることもあります。
迅速検査のタイミングは12時間~48時間
偽陰性を避けるためにはどのタイミングで迅速検査を受ければよいのか???
このタイミングは発症後12時間ぐらいしてからと言われています。
ただ、あまり検査までの時間が空きすぎても抗インフルエンザ薬の内服時期(発症後48時間以内)を逃してしまうので、遅くても発症後48時間以内に検査を受けた方がよいみたいです。
”陰性”のときでも症状があるならば自宅療養を!!
迅速検査では”陰性”と判断されても偽陰性の場合もあります。
発熱、咳、鼻水、筋肉痛、腹痛などの症状があり、インフルエンザに感染している可能性がある場合には、症状が出現してから5~7日程度は自宅療養をしておくことが大切です。
ちなみに、職場を病欠し”陽性”の診断書の提出が必要な場合には、再度迅速検査を受ける必要があります。
インフルエンザの症状&検査の信頼性|まとめ
インフルエンザの予防接種をしたからといって感染をしないわけではありません。
インフルエンザの症状がどのようなものかを知った上で、もし感染してしまったときには早めに病院受診を行い、検査を受けるようにしましょう。
また、空気が乾燥するとのどや鼻の粘膜の防御機能が低下するためインフルエンザにかかりやすくなりますので、室内では加湿器を使って適度な湿度(50~60%)を保つようにしましょう。