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胃透視と胃カメラの違い|胃の検査を受けるならどちらが良い!?

病院で行われる検査の中に「胃透視検査」と「胃カメラ検査」というものがあります。

どちらの検査も胃がん検診などの「胃」の状態を検査するもので、医療施設だけでなく検診車などでもよく行われています。

ですが、同じ「胃」の状態を検査するものでも内容はまったく違うので、健診を受ける側にとってはどちらの検査を受ければよいのかが分かりづらく迷ってしまう方もいます。

そのことを解消するために、今回はそれぞれの検査にどのような特徴や違いがあるのかを詳しく解説していきます。

胃透視と胃カメラの検査の概要

まずは、胃透視検査と胃カメラ検査、それぞれの検査の概要について簡単に説明していきます。

胃透視検査とは?

胃透視と胃カメラの違い|どちらの検査を受ければよいのか?

胃透視検査は、透視検査の中で最もポピュラーな検査であり”胃を透視する検査”と名前がついている通り、胃・食道・十二指腸などをX線で透視しながら写真をとっていきます。

検査のながれは、

  1. 検査前に胃を空にする(絶食)
  2. 発泡散を飲んで胃を膨らます
  3. バリウムを飲む
  4. ゲップを我慢しながらレントゲン撮影(10~15枚程度)
  5. 下剤を飲んでバリウムを早く出す

と、こんな感じです。

検査のときに飲む発泡散という胃を膨らませる薬は、本当に胃がパンパンになるので気を緩めるとゲップがすぐに出てしまいます。

そのような状態でおいしくないバリウムを飲むことはなかなか大変で、そのような中でレントゲン撮影に必要な体位変換を何度もしなくてはいけません。

体位変換は「正面」「仰向け」「うつぶせ」「斜め向き」などさまざまで、目的とする胃の透視画像になったときに写真を撮ります。

胃透視と胃カメラの違い|どちらの検査を受ければよいのか?
「胃透視検査での体位変換」
引用:医療法人社団こうかん会 日本鋼管病院 こうかんクリニック

胃透視と胃カメラの違い|どちらの検査を受ければよいのか?
「胃透視検査で撮影された胃の画像」
引用:大橋医院

胃カメラ検査とは?

胃透視と胃カメラの違い|どちらの検査を受ければよいのか?
「内視鏡カメラ」
引用:せきクリニック

胃カメラ検査も、胃透視検査と同じように胃がん健診においてポピュラーな検査で、胃の中を内視鏡で直接観察する検査になります。

検査のながれは、

  1. 検査前に胃を空にする(絶食)
  2. 喉にスプレー麻酔をする(必要な場合は麻酔で眠らせる)
  3. 寝台に横になる
  4. 内視鏡を口から挿入する
  5. 内視鏡で胃の中を観察し写真を撮る

と、こんな感じです。

検査は、横向きに寝た状態で行い、胃透視検査のように何度も体位変換をする必要はありません。

胃カメラ検査は、口から内視鏡を挿入しますが、嚥下反射により麻酔で眠っていないとかなりきつい状態で検査をすることになります。

”必要な場合は麻酔で眠らせる”と記載しましたが、ほとんどの場合が麻酔をした状態で検査を行います。

胃透視と胃カメラの違い|どちらの検査を受ければよいのか?
引用:田中消化器科クリニック

胃透視と胃カメラの違い|どちらの検査を受ければよいのか?
引用:せきクリニック

胃カメラ検査の麻酔について

胃カメラ検査では、喉にスプレータイプの麻酔をしますが、喉の麻酔だけでは嚥下反射を抑えきることは難しいです。そのため、ほとんどの場合、麻酔で眠った状態にし検査を行います。

内視鏡には鼻から挿入するタイプのものもあり、そのタイプの内視鏡を使用する場合には、かなり負担を軽減することができます。

胃透視と胃カメラの違い

胃透視検査と胃カメラ検査の2つの検査について違いをまとめていきます。

胃の検査では「絶食」が当たり前!!

胃透視検査や胃カメラ検査では、胃を空っぽの状態にして検査を行っていきます。そのため、検査前は前日の夕食、または昼食からの絶食をしなけらばいけません。もしも、胃の中に食べ物が残っていた場合ですが、残っている食べ物が邪魔をして正確に検査・診断ができなくなってしまいます。

「検査中の体位変換」の有無

胃透視検査では、寝台に乗った状態で「前向き、後ろ向き、斜め向き」など、指示の通りに体の方向を変えないといけません。

それに加え、寝台が立った状態から寝た状態に動くこともあります。

胃透視と胃カメラの違い|どちらの検査を受ければよいのか?
「胃透視検査での体位変換」
引用:医療法人社団こうかん会 日本鋼管病院 こうかんクリニック

胃透視検査において体位変換が必要な理由!?

胃透視検査では、検査中に寝台が寝たり立ったりしている最中、体の向きを変化させる必要があります。この体位変換をしているのは発泡剤で膨らませた胃壁にバリウムを付着させるためです。胃壁にバリウムを付着させることで、レントゲン写真上に胃壁の状態をきれいに写すことができます。

イメージとしては、膨らませた風船の内側に絵の具を付着させるために、風船をいろいろな方向に動かしている感じです。

胃透視と胃カメラの違い|どちらの検査を受ければよいのか?
「検査中の胃の動き」
引用:医療法人 啓松会 飯原医院

胃カメラ検査では寝台に横向きになって寝るだけで体位変換などは行う必要がありません。

胃透視と胃カメラの違い|どちらの検査を受ければよいのか?
「胃カメラ検査」
引用:医療法人社団 安緑会 秋葉原内科内視鏡クリニック

胃カメラ検査において体位変換がいらない理由!?

胃カメラ検査は、胃透視検査のように体位変換をする必要はなく、横向きに寝た状態で検査を行います。体位変換がいらない理由は、胃カメラ検査では検査をする医師が内視鏡を動かしながら、観察したい場所を見ることができるからです。

「検査時間」の違い

検査時間は、胃透視検査では約20分、胃カメラ検査では約5分程度かかります。

胃透視検査の方が検査時間がかかる理由は、検査中に”体位変換”が必要だからです。

この体位変換は、診断に必要な写真を撮るためのものなので、診断に有用な写真を撮ることができなければ、検査時間は余計にかかってしまうことになります。

胃透視の検査時間延長の原因になるもの!?

胃透視検査の検査時間を延長させる原因は、

  • 患者の体位変換がうまくできない
  • 写真の撮影時の患者の息止めがうまくできない
  • 診療放射線技師の体位変換の指示がへたくそ

など、いくつか挙げられます。

これらを少しでも解消するためには、検査前の診療放射線技師からの患者への説明や、患者の検査への理解がとても重要になります。

胃カメラ検査では、口から内視鏡を挿入して、咽頭・喉頭・食道・胃のながれで医師が検査を行っていくので、検査を行う医師の内視鏡を扱うスキルや診断のスキルが高いほど検査時間は短縮されます。

胃カメラの検査時間延長の原因になるもの!?

胃カメラ検査の検査時間を延長させる原因は、

  • 検査中に異常所見が見つかった
  • ポリープが見つかり切除を行った

など、検査中に正常ではないものが見つかり、それに対して対処しないといけない場合です。

「患者にかかる負担」の違い

胃透視検査では、バリウム(白いドロドロの液体)を飲み、発泡散という胃を膨らませる薬を飲んで検査を行います。

この発泡散を飲んだあとは、胃がしぼまないようにゲップをすることを禁止されるのですが、このゲップの我慢がかなり大変です。

もし、ゲップをしてしまい胃がしぼんでしまうと、再度、胃を膨らませるために発泡散を飲まないといけなくなることがあります。

また、検査で飲むバリウムは非常に飲みづらいです。

検査に慣れていてもなかなか飲めるものではありません。

バリウムは固まりやすい性質を持つため、検査後は下剤を飲んで速やかにバリウムを体外に出す必要があり、下剤を飲むことも胃透視検査を受ける方の負担になります。

バリウムは非常に飲みにくい

胃透視検査において、バリウムを飲むことは必須ですが非常に飲みにくいです。この飲みにくさを解消するために、最近では、イチゴ、バナナなどの味付きのものを準備している医療施設もあります。

胃カメラ検査は、胃透視検査のような体位変換やバリウムを飲む必要性はありませんが、口から内視鏡を挿入することでの嚥下反射(「おえっ」とえづくこと)がきつい検査です。

嚥下反射を和らげるために喉にスプレー麻酔をしますが、その麻酔だけで嚥下反射を抑えることは不可能であり、その状態で検査を受けてしまうと本当にきつい体験をすることになります。

そのようにならないように、麻酔薬で完全に眠った状態で検査を行う方が多いです。

ただ、その場合には運転を控えるように言われるので、車での受診はできなくなります。

鼻から入れる内視鏡もある!?

最近では、口からの内視鏡の挿入による嚥下反射の負担を軽減させるために、鼻から入れるタイプの内視鏡で胃カメラ検査を行う医療施設もあります。

もしも、口から内視鏡を挿入することに抵抗がある場合には、鼻から入れるタイプの内視鏡を使用している医療施設で胃カメラ検査を受けることをおすすめします。

「放射線被ばく」の有無

胃透視検査では、X線を使用して検査を行うためにどうしても放射線の被ばくがあります。

また、通常のレントゲン撮影と違い、透視検査はX線で体を透視しながら写真を撮影するため、胃透視検査を実施する約20分の間のほとんどの時間、放射線の被ばくを受けることになります。

放射線の被ばく線量は、腹部単純撮影の50~100倍とされています。

胃カメラ検査では、X線は使用しないので放射線被ばくはありません。

放射線被ばくが増える原因になるものとは!?

検査中のX線は、胃がきれいに見えるように患者の体の厚さに合わせて自動で調整されます。

そのため、体の厚い患者ほど放射線被ばくの量は増えます。

  • 体の厚い患者:X線は多く出る
  • 体の薄い患者:X線は少なく出る

また、放射線被ばくの量は検査の時間にも影響され、検査の時間が延びるほど、それだけX線を浴びている時間も増えるので放射線被ばくの量が増えることになります。

「検査の実施者」の違い

胃透視検査では、基本的に診療放射線技師がその業務を行います。

これは、医療施設で検査を行っても、検診車で検査を行っても変わりはなく、胃透視検査では診療放射線技師が撮影した画像を、医師が診断するというながれになります。

そのため、検査を行う診療放射線技師のスキルにより画像が変化することになります。

胃カメラ検査では医師が検査を実施します。

クリニックなどの小さな病院では、診断医が胃カメラ検査も行っていますが、大きな病院になると内視鏡の専門医がいて、胃カメラ検査のみを担当している場合があります。

そのような場合には、撮影した画像を2人の医師で確認してくれることになります。

胃透視検査胃カメラ検査
(小さい病院)
胃カメラ検査
(大きな病院)
検査の実施診療放射線技師主治医検査担当医師
画像診断読影医・主治医主治医読影医・主治医
患者への説明主治医主治医主治医

胃透視と胃カメラ|どちらがいい???

胃透視検査と胃カメラ検査は、どちらの検査も「胃」の検査をするものですが、この2つの検査を比較すると胃カメラ検査の方が優れています。

そのため、現在「胃」の検査をするとなると胃カメラ検査の方が主流です。

なぜ胃カメラ検査の方が優れているのかその理由をまとめます。

「胃」を直接見ることができる

直接、内視鏡で口から胃までの状態を観察する胃カメラ検査に対して、胃透視検査では胃カメラ検査までの評価ができません。

実際の臓器をカメラで観察できる胃カメラ検査に対して、胃透視検査はレントゲン画像で臓器を確認することしかできないので仕方がないことでもあります。

直接臓器を観察できる胃カメラ検査においては、早期の食道がんや咽頭がん、喉頭がんなども発見しやすくなります。

胃透視と胃カメラの違い|どちらの検査を受ければよいのか?
引用:医療法人 啓眞会 くにちか内科クリニック

検査の負担が少ない

検査前に絶食し胃の中を空っぽにするのは、胃透視検査でも胃カメラ検査でも同じです。

ただ、その後の検査のながれはまったく異なります。

  • 発泡散を飲んで胃を膨らます
  • バリウムを飲む
  • ゲップを我慢しながらレントゲン撮影(10~15枚程度)
  • 下剤を飲んでバリウムを早く出す

と、胃透視検査では専用の薬を飲みながら体位変換などいろいろなことをしないといけないのに比べ、胃カメラ検査では

  • 喉にスプレー麻酔をする(必要な場合は麻酔で眠らせる)
  • 寝台に横になる
  • 内視鏡を口から挿入する
  • 内視鏡で胃の中を観察し写真を撮る

と、しっかり麻酔をかけてもらえば、眠っている間に検査は終わります。

そのため、眠っている間に検査が終わる胃カメラ検査の方が負担が少ないです。

医師が検査をしてくれる

当然のことですが、検査を受けるならきちんと診断してほしいと思います。

だからこそ、診療放射線技師が検査をする胃透視検査よりも、医師が検査をしてくれる胃透視検査の方が安心できます。

先ほども説明しましたが、通常、胃透視検査は診療放射線技師が行います。

まれに医師よりも知識量が多い診療放射線技師もいますが、それも一部だけです。

そのため、医師が検査を行う胃カメラ検査の方が安心感があります。

胃透視検査胃カメラ検査
(小さい病院)
胃カメラ検査
(大きな病院)
検査の実施診療放射線技師主治医検査担当医師
画像診断読影医・主治医主治医読影医・主治医
患者への説明主治医主治医主治医

検査中でも簡単な手術なら可能

胃透視検査では、異常所見が見つかった際には、さらに内視鏡検査などで精査を行い、必要ならば手術などを行います。

それに比べ、胃カメラ検査では検査中に異常所見が見つかった際にはそのまま生検や、ポリープでは切除などをすることが可能です。

そのため、後日あらためて手術の時間などをつくる必要がなく、患者の負担も軽減されます。

胃透視と胃カメラの違い:まとめ

今回、解説した内容を一覧表にしました。

胃透視検査胃カメラ検査
検査中の体位変換たくさんあるなし
検査時間約20分約5分
検査による負担「バリウムがまずい」
「発泡剤で胃を膨らますがゲップができない」
「下剤でバリウムを早く出す必要がある」
嚥下反射
(麻酔で眠れる)
放射線被ばくありなし
検査の実施者診療放射線技師医師
観察部位胃・それ以外は微妙胃・咽頭・喉頭・食道など
検査中の簡単な手術不可可能

現在では、胃カメラ検査が主流になり胃透視検査は少なくなってきており、その理由は、2つの検査を比較することでご理解いただけると思います。

がん検診については、厚生労働省が50歳以上の対象者に対し、「問診に加え、胃部エックス線検査または胃内視鏡検査のいずれか」を受けるように推進しています(胃部エックス線検査は40歳以上)。

国民の2人の1人が「がん」になり、3人に1人が「がん」で死亡している現在において、自分が「がん」に罹患しないようにがん検診を受けることはとても大切なことです。

きちんと胃透視検査か胃カメラ検査を受けるようにしましょう。

胃透視検査の詳細については別の記事でもまとめていますので、興味がある方はご参照ください。