放射線科

MRI検査をくわしく解説

MRI検査とは?

『MRI検査』検査の概要とながれについて解説

「MRI(Magnetic Resonance Imaging)検査」は、磁力と電磁波を使用して、身体の様々な断面像を撮像する検査です。

「磁力と電磁波を使用して・・・」とありますが、MRI検査では、X線を使用するわけではないので、レントゲン撮影とは異なる画像を撮像することができ、特に水分を多く含んだ臓器の撮像に優れています。

そのため、脳や脊髄、子宮や卵巣、前立腺の検査などの検査に優れています(逆に骨の検査には向きません)。

MRI装置の磁力の強さ

MRI装置は、磁力を利用して検査を行うため、装置で発生させる「磁力の強さ」は検査に大きく影響を及ぼします。

この磁力の強さですが、その強さが大きいほど性能が良くなり、細かい検査を行うことができます。

現在、病院やクリニックで主に使用されているMRI装置の「磁力の強さ」は、『0.4T、1.5T、3T』の3種類になります。

T(テスラ)とは、磁力の強さを表す単位で、数字が大きくなるほど強い磁力になります。

T(テスラ)とは?

1T(テスラ)=10,000G(ガウス)です。一般の人が、日常でよく見かけるのは、磁気ネックレスですが、その磁気ネックレスの磁力は1,300Gぐらいです。つまり、1.5TのMRI装置は磁気ネックレスの10倍ほどの磁力を持っているということになります。

0.4T

MRI装置の中では、最も弱い磁力の装置で、整形外科の病院で多く使用されています。

この装置では、整形領域である肩関節、膝関節、頸椎、腰椎に加え、関節内の靱帯や神経などの撮像を主に行います。

頭や腹部などの撮像はうまく撮像できないため、検査の必要がある場合には、1.5T以上のMRI装置が設置されている医療機関を受診する必要があります。

1.5T、3T

現在、多くの病院やクリニックで使用されているのは1.5TのMRI装置になります。

3Tは、磁力の強さはあるのですが、その費用の面から大学病院や研究施設で用いられます。

1.5T以上のMRI装置になると、整形領域に加え、頭や腹部などの撮像を行うことができます。

MRI検査を受けるのにかかる費用

MRI装置も、CT装置と同じように性能によって検査の費用が違い、もちろん磁力の強いMRI装置の方が費用は高くなります。

整形領域の検査においては、性能の違いで画像に大きな差はありませんが、検査費用は性能が良いほど高くなるので注意が必要です。

MRI装置の費用は、以下の3つに分けられます。

性 能金 額
3T以上20,500円
(3割負担:6,150円)
1.5T以上3T未満17,800円
(3割負担:5,340円)
それ以外13,500円
(3割負担:4,050円)

MRI検査の手順

MRI検査には、そのままの状態で撮像を行う「単純MRI検査」と造影剤と言われる特殊な薬を使用する「造影MRI検査」があります。

単純MRI検査(造影剤を使用しない場合)

単純MRI検査は、入室から退室までの時間を20~30分程度で終了することができます。

  1. 更衣を行う(身に着けている金属のチェック)
  2. 検査室へ入室
  3. 寝台に寝る。
  4. 撮像(寝台は一定の位置に移動後止まります)
  5. 撮影終了
  6. 退室
  7. 更衣

造影MRI検査(造影剤を使用する場合)

造影MRI検査は、入室から退室までの時間を30~40分程度で終了することができます。

ただ、造影剤という特殊な薬を血管から静脈注射するので、使用する薬の副作用などの説明を検査前に受ける必要があります。

  1. 造影剤の問診をとる(アレルギー、既往歴、腎機能など)
  2. 更衣を行う(身に着けている金属のチェック)
  3. 検査室へ入室
  4. 寝台に寝る。
  5. 単純MRI撮像(寝台は一定の位置に移動後止まります)
  6. 造影剤を静注する。
  7. 造影MRI撮像
  8. 撮像終了
  9. 腕のルートをはずします。
  10. 退室
  11. 更衣
    • 造影剤の副作用が出ないか少し様子をみます。

造影MRI検査について

造影MRI検査は、単純MRI撮影では見えずらい腫瘤病変などを、特殊な薬を静脈注射することにより、撮像する検査になります。

このときに使用される薬を「造影剤(ぞうえいざい)」と言い、アレルギー反応などが出ると、吐き気などの副作用が出ます。

そのため、検査前には十分な説明と同意を取り、検査を行います。

MRI検査時の更衣について

MRI検査では、磁力を利用して検査を行いますが、この磁力は、検査中だけではなく常にMRI装置から発生されています。

そのため、検査室へ金属の持ち込みは絶対にしてはいけません。

検査を受ける際の更衣は、「ヘアピン・時計・指輪・ピアス」などの外せる金属物は全て外します。

また、撮像する部位によっては、「入れ歯・金属がついた衣類」なども外す必要があります。

  • ヘアピン
  • アクセサリー
  • 金属のついた下着(スポーツブラは脱がなくていいです)
  • 湿布、エレキバン    など

検査を受けるに当たっての注意点として、「眉墨・入れ墨」などされている方は、強い磁力に反応して色が変わってしまうことがあります。

一度の検査では色が変わることはあまり見られませんが、何度も繰り返して検査を受ける際には色が変わってきます。

MRI検査に対してよくある質問

MRI装置は磁力を使用して検査を行っていますが、なかなか理解しづらい部分があります。

そのため、検査に対してはいろいろな質問が出ます。

その一部をまとめてみました。

MRI装置には形が違うものがあるが何が違うのか?

MRI装置には、「オープン型MRI装置」「オープン型ではないMRI装置」の2種類の形があります。

この2つのMRI装置の違いは「磁力の強さ」と「圧迫感」です。

オープン型MRI装置

『MRI検査』検査の概要とながれについて解説

オープン型MRI装置では、関節などの整形領域を撮像する整形外科病院などで使用されています。

検査台がオープンになっているので圧迫感がなく、患者の負担が少ないのが特徴ですが、磁力の強さは0.2~0.4Tと小さく、整形領域しか使用することはできません。

オープン型でないMRI装置

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オープン型でないMRI装置では、関節などの整形領域に加え、頭、腹部などの撮像も行うことができます。

ただ、筒状の検査装置に身体を入れて検査を行うので圧迫感があり、患者の負担は大きくなります。

その分、磁力の強さは1.2~3.0Tと大きくなります。

最近では、1.5TのMRI装置を設置している整形外科病院も増え、オープン型のMRI装置は減ってきています。

MRI室内は「シュッコン、シュッコン」音がしているが何の音か?

MRI検査室に入ると、検査前にも関わらず「シュッコン、シュッコン」と音がしています。

この謎の音の正体は何なのでしょうか?

これは、MRI装置内にあるコンプレッサーの音です。

MRI装置は、強力な磁場を発生させるため、装置の一部から高熱が発生します。

そのため、常に高熱が出る装置の一部を冷却しないといけません。

冷却には液体ヘリウムを用いますが、この液体ヘリウムも冷却する必要があるので、そのためにコンプレッサーを使用しています。

MRI検査中の工事現場のような音はなんなのか?

MRIの検査中は、「ガガガガ」「ガンガンガン」「ビービービー」などの工事現場のような大きな音がします。

とてもうるさくて不快な音なのですが、この音は装置内のコイルが振動している音になります。

MRI装置は、装置内部に取り付けられているコイルを使って、磁場の強さや方向を変化させています。

そして、この磁場の切替を行うことによって、いろいろな画像を得ることができます。

この磁場の切り替えは高速に行われていて、切り替えの際の大きな力によってコイルが振動しています。

MRI検査の時間はどれくらいかかるのか?

MRI検査の検査時間は、検査をする部位ではなく、撮像する画像の種類によって変わります。

少し分かりにくいので具体的に説明すると、MRI検査では1つの種類の撮像をするのに約5分かかります。

そして、医師からの指示があったものを複数撮像します。

例えば、頭のMRI検査を行う際に5つの種類の撮像の指示が出た場合には、「5分・5分・5分・5分・5分」の組み合わせで、約25分検査にかかることになります。

そのため、組み合わせによって検査時間は異なりますが、おおよそ20~30分程度の検査時間になります。

刺青・眉墨・タトゥーに影響があると言われたが・・・?

最近、若い方のタトゥーが増えました。

このタトゥーや刺青、眉墨などは、体に金属を含んだ塗料を埋め込んでいます。

MRI検査では、強い磁力を用いて検査を行うので、金属成分に電流が発生し熱を帯びることで、やけどをしてしまうことがあります。

また、何度もMRI検査を受けていると、タトゥーや刺青の色が変色してくることがあります。

MRI室に金属を持ち込むと・・・?

MRI室への金属の持ち込みは禁忌になっています。

そのため、MRI室への入室時には、金属探知機などを用いて厳重に金属を持っていないかチェックをします。

もちろん、これは医療従事者であっても同じで、検査を行う診療放射線技師や看護師も、ペンやはさみなど持ち込まないように注意をしています。

もし、誤ってMRI室へ金属を持ち込んでしまった場合、どうなってしまうのでしょうか?

MRI装置は、装置の中心ほど磁力が強くなり、また、その引き付けられる金属の大きさが大きいほど強い力で引き付けられます。

そのため、クリップやペンなどの小さいものなら、引き付けられても人の力で対抗することができます。

ですが、車イスや酸素ボンベなどの大きなものになると、MRI装置から引き離すことが困難になります。

実際に、病院において起こった吸着事故の事例を挙げます。

事例1

看護師が誤って酸素ボンベを持ってMRI室に入室。

酸素ボンベが吸着され、検査中の患者さんに激突。

検査中の患者さんは死亡。

事例2

着替えを済ました患者さんの胸ポケットにパチンコ玉が入っていた。

寝台に寝るときにパチンコ玉がMRI装置に飛んで行った。

事例3

検査を担当する診療放射線技師が両手首と両手足首にウエイトトレーニング用の重りをつけていた。

そのまま、誤ってMRI室に入室。

両手両足が吸着され、MRI装置に張り付いて動けなくなった。

検査室の外では吸着されないのか?

死亡事故が起こるぐらいの強い磁力を持っているMRI装置ですが、部屋の外に置いてあるものは引き寄せられないのでしょうか?

このことについては、大丈夫なように工夫がされています。

どの病院においても、MRI装置を導入する際には、検査室の壁に電波シールドと磁気シールドを設置するように義務付けられています。

そのため、部屋の外にはまったく影響を及ぼすことはありません。

まとめ

MRI検査は、磁力の力を使って検査をするため放射線による被ばくはありません。

そのため、安全に検査を行うことができます。

ただ、検査を実施するにあたり、検査の拒否が多く出やすいのはMRI検査になります。

その理由は、狭い空間による圧迫感と先ほど説明した工事現場のような音です。

ただ、それだけ大変な検査だからこそ、得られる情報量も大きなものになります。

必要な検査な場合には、どのような検査なのかを知り、圧迫感や騒音に驚かないようにしておきましょう。