レントゲン

MRI検査のわかりやすい解説|検査を受ける前に知っておきたいこと!!

病院で行われる検査の中に「MRI検査」というものがあります。

このMRI検査は、磁力と電磁波を使って身体の任意断面の画像をつくる検査なのですが、医師が必要性があると判断した場合に実施される検査で、必ずしも行う検査ではありません。

では、どのようなときにMRI検査は実施されるのでしょうか?

今回は、病院で実施される「MRI検査」について、検査のながれ・分かる病気・検査時間・検査費用などを詳しく解説していきます。

MRI装置とはどんなもの?

MRI検査をわかりやすく解説|検査のながれ・分かる病気・検査時間・検査費用etc
引用:el Hospital

MRI装置は磁力と電磁波を使って身体の任意断面を撮像する医療機器になります。

MRIという名前は”Magnetic Resonance Imaging”を略したもので、「磁気共鳴画像」という意味があります。

「磁力と電磁波を使って・・・」とありますが、MRI検査ではレントゲン撮影とは異なりX線を使用するわけではないので、得られる画像もまったく異なるものになります。

MRIの撮像原理

人の体は年齢ごとで若干の差はありますが、その半分以上(約50~80%)が水分でできています。

MRI検査をわかりやすく解説|検査のながれ・分かる病気・検査時間・検査費用etc
引用:大塚製薬

MRIでは、この体の中の水分(水素原子)に対して「磁力」や「電磁波」を用いることにより核磁気共鳴という現象を起こし、そのデータを画像化しています。

MRIの撮像原理はとても分かりにくいので、図を使って説明していきます。

①自然状態の体内の水素原子はバラバラ

MRI検査をわかりやすく解説|検査のながれ・分かる病気・検査時間・検査費用etc

上の図にあるコマのようなものは、体内にある水素原子を表しています。この水素原子は、普段はいろいろな方向を向いてバラバラにコマのように回っています。

②水素原子のバラバラな方向を一定にする

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MRI装置は大きな磁石になっています。このMRI装置の中に入ると、水素原子のバラバラを強い磁力によって一定方向に向けることができます。

③RFパルスを与えて特定の方向を向けさせる

MRI検査をわかりやすく解説|検査のながれ・分かる病気・検査時間・検査費用etc

一定方向を向けさせた水素原子にRF波(電磁波)を与えて、特定の方向を向けさせます。

④RFパルスを切ったときのMR信号を受信する

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RF波(電磁波)によって一定方向を向いている水素原子は、RF波を切ると細胞ごとに異なった信号を出しながら元の状態に戻ろうとします。このときに発生する信号が「MR信号」です。MRI検査では、このMR信号を受診し画像データを作っています。

MRI装置の性能

MRI装置は磁力を使って検査を行うため、装置ごとの「磁力の強さ」は検査に大きく影響を及ぼします。

そして、この磁力の強さは大きいほど性能が良く細かい検査を行うことができます。

現在、医療施設で使用されている主なMRI装置は「0.4テスラ、1.5テスラ、3テスラ」の3種類の性能のものです。

0.4TのMRI装置の特徴

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引用:みやわき整形外科クリニック

0.4TのMRI装置は、肩関節・膝関節・頸椎・腰椎・関節内の靱帯や神経などの整形領域の撮像を主に行いますが、磁力が弱いので頭部や腹部などの撮像はうまく撮像できません。

ただ、磁力が弱いのでオープン型の装置になり、検査中の圧迫感が少ないのが特徴です。

1.5T、3TのMRI装置の特徴

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引用:el Hospital

1.5T、3TのMRI装置は、整形領域、頭部、腹部などすべての部位の撮像が可能です。

ただ、筒状の検査装置に身体を入れて検査を行うので、検査中の圧迫感は大きくなります。

現在、多くの医療施設で稼働しているのはこのタイプの1.5TのMRI装置で、3TのMRI装置は磁力は強いのですが、設置費用などのコストが高額になるため大学病院や研究施設で用いられることが多いです。

撮像画像のつくり方・撮影時間

MRI検査の撮像は、必要な断面ごとに撮像を行っていきます。

撮像する断面の数は、医師が診察をして決定するため、はっきりとは決まっていませんが、1つの断面の撮像に5~10分程度の時間がかかります。

そのため、撮像する断面の数が多くなるほど、検査時間は長くなることになります。

MRI検査をわかりやすく解説|検査のながれ・分かる病気・検査時間・検査費用etc

検査時間は15分以上はかかる

通常、MRI検査では3断面以上のデータ収集を行うため、15分以上は撮像の時間がかかります。この15分は「定期的な検査なら・・・」という感じなので、精密な検査を行う場合には30~40分程度かかると考えていた方がよいです。

検査中に動いてしまった場合にはさらに時間がかかる

MRIの撮像では、ワンセットの画像を5分かけて少しずつ撮像していくわけではなく、5分間収集した画像データから画像を撮像します。つまり、検査中に一瞬でも動いてしまうと撮像中だったワンセットの画像データはダメになってしまうので、そのセットを再度撮り直さないといけなくなります。そのため、撮り直さないといけない場合には、検査時間が伸びてしまいます。

MRI検査をわかりやすく解説|検査のながれ・分かる病気・検査時間・検査費用etc

得意な撮像部位と病変

MRI検査は磁力と電磁波を使用して画像をつくっています。

また、体内の水分(水素原子)に作用して画像データを収集しています。

そのため、体内において水分よりも空気やガスが多い部位(肺、腸管など)においてはMRI撮像においては画像データを収集できないことになります。

得意な撮影部位脳・脊髄・関節・骨盤腔内臓器など
得意な病変早期の脳梗塞・脳ドッグ

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「脳梗塞:左(DWI)中(FLAIR)右(MRA)」
引用:JA静岡厚生連

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「腰椎椎間板ヘルニア」
引用:国立大学法人 旭川医科大学

MRI検査をわかりやすく解説|検査のながれ・分かる病気・検査時間・検査費用etc
「胆嚢(MRCP)」
引用:健診会 東京メディカルクリニック

MRI検査の手順

MRI検査には、単純MRI撮像と造影剤を使用して行う造影MRI撮像があります。

造影MRI撮像で使用する造影剤には副作用がありますが、得られる情報量はとても多く、癌の疑いがある場合には必ず用いられます。

単純MRI撮像と造影MRI撮像では、検査のながれが多少異なるので別々に説明していきます。

MRI検査時の更衣

MRI検査では磁力と電磁波を使用して検査を行いますが、磁力については検査中だけではなく常にMRI装置から発生している状態になっています。

そのため、検査室へ金属の持ち込みは絶対にしてはいけません。

検査を受ける際の更衣は、「ヘアピン・時計・指輪・ピアス」などの外せる金属物は全て外します。

また、撮像する部位によっては、「入れ歯・金属がついた衣類」なども外す必要があります。

  • ヘアピン
  • アクセサリー
  • 金属のついた下着(スポーツブラは脱がなくていいです)
  • 湿布、エレキバン    など

検査を受けるに当たっての注意点として、「眉墨・入れ墨」などされている方は、強い磁力に反応して色が変わってしまうことがあります。

一度の検査では色が変わることはあまり見られませんが、何度も繰り返して検査を受ける際には色が変わってきます。

単純MRI検査のながれ

単純MRI検査は、入室から退室までの時間を20~30分程度で終了することができます。

  1. 更衣を行う(身に着けている金属のチェック)
  2. 検査室へ入室
  3. 寝台に寝る。
  4. 撮像(寝台は一定の位置に移動後止まります)
  5. 撮影終了
  6. 退室
  7. 更衣

造影MRI検査のながれ

造影MRI検査は、入室から退室までの時間を30~40分程度で終了することができます。

ただ、造影剤という特殊な薬を血管から静脈注射するので、使用する薬の副作用などの説明を検査前に受ける必要があります。

  1. 造影剤の問診をとる(アレルギー、既往歴、腎機能など)
  2. 更衣を行う(身に着けている金属のチェック)
  3. 検査室へ入室
  4. 寝台に寝る。
  5. 単純MRI撮像(寝台は一定の位置に移動後止まります)
  6. 造影剤を静注する。
  7. 造影MRI撮像
  8. 撮像終了
  9. 腕のルートをはずします。
  10. 退室
  11. 更衣
    • 造影剤の副作用が出ないか少し様子をみます。

造影MRI検査の有用性

造影MRI検査では、単純MRI撮影では確認しづらい腫瘤病変などを、造影剤を使用することにより描出することができます。

ただ、造影剤を使用することで副作用が出ることもあり、その使用にあたってはしっかりした説明をしたあとに同意書へのサインを求められます。

造影剤を使用することで、

  • 造影剤を使用してないときの画像
  • 造影剤を使用したときの画像

といった同じ断面でも異なる画像を得ることができます。

これにより、判別が難しい腫瘤病変などの確認を行うことができます。

MRI撮像の検査費用

「MRI装置の性能」の説明で、”磁力の強さ”によってMRIの性能が異なることを説明しましたが、MRI撮像の検査費用もMRI装置の性能ごとで異なります。

そして、もちろん性能が良くなるほど検査費用も高く請求できるように設定されています。

MRIの性能検査費用保険適用(3割)
3T以上20,500円6,150円
1.5T以上3T未満17,800円5,340円
それ以外13,500円4,050円

撮像断面数と検査費用の関係

MRIの検査費用は、MRI装置の性能ごとで異なりますが、撮像部位や撮像断面数では変化しないようになっています。

MRI装置の性能が違う&撮像部位は同じ

0.4TMRI装置と1.5TMRI装置でそれぞれ膝を撮像する場合には、画像データに大きな変化はありませんが、性能の良い1.5TMRI装置での検査費用の方が高くなります。

MRI検査をわかりやすく解説|検査のながれ・分かる病気・検査時間・検査費用etc
MRI検査をわかりやすく解説|検査のながれ・分かる病気・検査時間・検査費用etc

MRI検査では、撮像部位や撮像データの内容が同じでも、MRI装置の性能によって検査費用は変化します。

MRI装置の性能は同じ&撮像部位が違う

1.5TMRI装置で頭部を撮像する場合に、撮像断面数が異なったとしても検査費用は同じになります。

MRI検査をわかりやすく解説|検査のながれ・分かる病気・検査時間・検査費用etc
MRI検査をわかりやすく解説|検査のながれ・分かる病気・検査時間・検査費用etc

MRI検査では、撮像断面数が異なる場合であっても、MRI装置の性能が同じであれば検査費用は同じになります。

医療施設におけるMRI装置の設置状況

以前のMRI装置の設置状況は、整形外科の診療科を主にする医療施設では0.4TMRI装置、脳神経外科の診療科を主にする医療施設では1.5TMRI装置を導入していることが多いでした。

ですが、最近ではMRI装置の導入費用が安価になってきたこともあり、整形外科を主にする医療施設でも1.5TMRI装置を導入していることが多くなってきています。

また、その他の医療施設でもMRI装置を導入していることが多くなりました。

MRI検査に対してのQ&A

MRI装置は磁力と電磁波を使用して検査を行っていますが、撮影原理も難しく理解しづらいです。そのため、検査に対してはいろいろな質問が出ます。その中で、よくある質問の一部をまとめました。

MRI室内の「シュッコン、シュッコン」という音の原因は?

MRI検査室に入ると、検査前にも関わらず「シュッコン、シュッコン」と音がしています。

この謎の音の正体はMRI装置内にあるコンプレッサーの音です。

MRI装置は強力な磁場を発生させるため、装置の一部から高熱が発生します。

そのため、常に高熱が出る装置の一部を冷却しないといけません。

冷却には液体ヘリウムを用いますが、この液体ヘリウムも冷却する必要があるのでコンプレッサーを使用しています。

「シュッコン、シュッコン」という音はコンプレッサーの音です。

検査中の工事現場のような音の原因は?

MRIの検査中は、「ガガガガ」「ガンガンガン」「ビービービー」などの工事現場のような大きな音がします。

とてもうるさくて不快な音なのですが、この音は装置内のコイルが振動している音になります。

MRI装置は、装置内部に取り付けられているコイルを使って、磁場の強さや方向を変化させています。

そして、この磁場の切替を行うことによって、いろいろな画像を得ることができます。

この磁場の切り替えは高速に行われていて、切り替えの際の大きな力によってコイルが振動しています。

MRI室に金属を持ち込むとどうなるのか?

MRI室への金属の持ち込みは禁忌になっています。

そのため、MRI室への入室時には、金属探知機などを用いて厳重に金属を持っていないかチェックをします。

もちろん、これは医療従事者であっても同じで、検査を行う診療放射線技師や看護師も、ペンやはさみなど持ち込まないように注意をしています。

MRI装置は、装置の中心ほど磁力が強くなり、また、その引き付けられる金属の大きさが大きいほど強い力で引き付けられます。

クリップやペンなどの小さいものなら、引き付けられても人の力で対抗することができますが、車イスや酸素ボンベなどの大きなものになると、MRI装置から引き離すことが困難になります。

MRI検査室の外では吸着されないのか?

死亡事故が起こるぐらいの強い磁力を持っているMRI装置ですが、部屋の外に置いてあるものは引き寄せられないのでしょうか?

このことについては、大丈夫なように工夫がされています。

どの病院においても、MRI装置を導入する際には、検査室の壁に電波シールドと磁気シールドを設置するように義務付けられています。

そのため、部屋の外にはまったく影響を及ぼすことはありません。

MRI検査をわかりやすく解説:まとめ

今回、MRI検査について解説した内容のまとめです。

撮影原理磁力(水分子の量に関係)
性能「○○テスラ」が増えるほど性能UP
画像再構成撮像時に任意の断面をデータ収集
得意な撮影部位脳・脊髄・関節・骨盤腔内臓器
得意な病変早期の脳梗塞・脳ドッグ
検査室の構造磁気シールド・電波シールド
撮影方法寝台に寝た状態で撮影
(寝台は撮影中は固定)
検査時間15分~40分
(撮像断面数により変化)
体の固定圧迫感(大)
専用のコイルとベルトでしっかり固定
検査中の音工事中のような音でかなりうるさい
検査費用13,500~20,500円
(保険3割:4,050~6,150)

MRI検査は、磁力の力を使って検査をするため放射線による被ばくもなく安全に検査を行うことができ、得られる情報量も多いです。

ただ、ガントリー内が狭く、動けないように固定されることにより、かなり圧迫感があります。

そのため、狭い場所が苦手な方には負担が大きいのがデメリットです。

また、一定時間動かない状態を保たなければ検査にならないので、小児や認知症の方は検査ができないこともあります。

もしも、病院で検査を受けられる際には、今回まとめた情報を参考にしていただければと思います。

また、CT検査に似ている検査にMRI検査がありますが、別の記事でまとめていますので、興味がある方はご参照ください。