ニュースでよく聞く「保釈されました・・・」。
悪いことをして逮捕されたのに、刑務所にいるわけではなく、一定の期間が経つと保釈されて外に出てきます。
なぜ刑務所に捕まえておくのではなく、外に出れるのでしょうか?
よくわかりません・・・(^^;
あまりに不思議なので、
- 逮捕から裁判までのながれ
- 保釈
の2つのことについて、調べてみました。
1.逮捕から裁判までのながれ
何か事件が起こし、警察に逮捕される。
その後のながれは、
- 留置所で取り調べ
- 検察官の取り調べ
- 裁判
というふうに進んでいきます。
① まずは留置所で取り調べ
何か事件があると容疑者(怪しい人)が捕まります。
ここで理解しておく必要があるのは、まだ容疑者であり犯人ではないということです。
容疑者は、「留置所」で最高48時間の取り調べを受けることになります。
よくドラマで、かつ丼を食べさせられてるやつです(かつ丼は有料)。
その後、冤罪や被害者と示談が成立した場合以外は、検察官のもとへ「送検」されます(検察官は、ドラマ「ヒーロー」でキムタクが演じていたやつです)。
- 事件発生
- 容疑者(怪しい人)を逮捕
- あくまでまだ怪しい人であり犯人ではない
- あくまでまだ怪しい人であり犯人ではない
- 容疑者は「留置所」で取り調べ(最高48時間の取り調べを受ける)
- ドラマではここでカツ丼を食べる(カツ丼は有料)
- ドラマではここでカツ丼を食べる(カツ丼は有料)
- 冤罪(犯人じゃなかったとき)や被害者との示談(被害者が許したとき)以外は検察官のもとへ「送検」される
② 検察官の取り調べ(ドラマ:ヒーローでキムタクがしてたやつ)
送検されると、24時間以内に検察官が裁判所に「勾留」の請求をします。
このときに、勾留が認められれば10日間勾留され、取り調べを受けます。
もしも、10日間で捜査が終わらない場合には、20日間まで勾留は延長されます。
検察官の捜査が終了すると「起訴・不起訴・起訴猶予(処分保留)」の処分が決定されます。
- 送検されると、24時間以内に検察官が裁判所に「拘留」の請求を出す
- 拘留が認められれば10日間拘留され取り調べをする
- 10日間で取り調べが終わらないときには20日間まで勾留延長
- 検察官の捜査終了後、「起訴・不起訴・起訴猶予(処分保留)」が決定
起訴
起訴されると、刑事裁判であらためて有罪・無罪を裁かれることになります。
不起訴
不起訴は、無実ということです。そのまま釈放されて、同じ事件では捕まることはなくなります。
起訴猶予(処分保留)
起訴猶予は、証拠が不十分なのでとりあえず起訴はしないけれども様子を見るということです。後日、何か証拠が見つかれば、また起訴される可能性があります。
③ 起訴されたあとは?
取り調べを受けて「起訴」が決定すると、裁判を受けなければいけません。
その裁判は早くて1ヵ月、通常で2、3ヵ月、長くなると1年以上かかります。
その間、ずっと身柄の拘束は続きます。
裁判が有罪だった場合
身柄拘束の期間ですが、もしも1年後の裁判で有罪判決を受け、10年の懲役になったとしても、身柄拘束の期間はカウントされません。
判決がくだされてからの10年の懲役になります。
裁判が無罪だった場合
もしも無罪だった場合。
身柄拘束の期間は、裁判を受けた方にとって、とても不利益なものになってしまいます。
無罪の方の不利益を無くすために・・・
容疑者として逮捕され、起訴となり、裁判を受けるからといって、必ずしも有罪ではありません。
無罪の方もいるということを考えておかなければいけません。
ただ、どうしても裁判が行われている間は、身柄を拘束する必要があるので、そのために用いられるのが「保釈」という制度です。
2.「保釈」を行う意味
容疑者として逮捕され、起訴となり、裁判を受けるからといって、必ずしも有罪ではありません。
では、裁判結果で有罪か無罪かが決定するまでの間にどうすればよいのか?
このような場合にのために、設けられているのものが「保釈」という制度になります。
「保釈」の条件
「保釈」は、起訴されて裁判の判決が出るまでの間に不利益がないようになされるものです。
つまり、裁判を受けるにしても、有罪か無罪か分からないのに、身柄を拘束し続けるのはどうなのか?
その考えのもと、裁判をしている間、自宅などに帰ることができるのが保釈ということになります。
ただ、この保釈にも条件があります。
それは、証拠隠滅や逃亡の恐れがないことです。
その恐れがある場合にはもちろん保釈は認められません。
釈放しても、証拠隠滅や逃亡などの恐れがないと裁判所が認めることで保釈が決定します。
そして、保釈を受けた被告人は、一定の条件のもと自宅に戻り、元通りの自由な生活をすることが認められます。
「保釈」の手続き
保釈は自動的にされるわけではなく、手続きが必要です。
つまり、保釈させてもらえる人でも、保釈の申請手続きをしなければ保釈されることはありません。
保釈は、起訴されたあと裁判の判決が出るまでの間に、裁判所に保釈請求書を提出し、保釈の許可が出たあと、保釈金を納めることですることができます。
この保釈の許可ですが、許可を出してもらうのに2つのハードルがあります。
そのハードルは
- 裁判所に許可をもらえるか?
- 保釈金を用意できるか?
の2つです。
ちなみに、裁判所に許可をもらうためには、
- ”証拠隠滅”と”逃亡”の危険がないこと
- 保釈した場合の責任者(身元引受人)がいること
が条件になります。
保釈の申請は却下された場合でも、裁判中であれば何度でも行うことができます。
「保釈金」は返ってくる
「保釈金」は、裁判中に釈放されるために支払うお金で、支払うと戻ってこないと思われる方が多いのですが、裁判の判決が確定すると返ってきます。
これは、有罪の場合でも無罪の場合でも、返ってくるタイミングは同じで、判決後2、3日から1週間程度で帰ってきます。
ただ、保釈時に裁判所から定められた条件や約束事に違反すると、保釈の取り消しと納めた保釈金も没収されてしまいます。
つまり、保釈金は保釈をするために必要な人質のようなものになります。
そのため、保釈金の金額は人によって変わることになります。
所得がいくら低くても最低限の金額の設定はありますが、所得が多い人に対してはそれなりの金額になります。
「保釈金」の金額
保釈が認められた場合、「保釈金」を裁判所に支払えば保釈されることになります。
もちろん、保釈が認められても保釈金を払わなければ保釈されることはありません。
この保釈金は、裁判所が保釈を認めた場合に金額が決定します。
この金額ですが、相場の基準として「事件が重大であるか・前科の有無・見込まれる刑の重さ・保釈のリスク」などが影響します。
通常、150万円~300万円の範囲で決められることが多いようです。
ただ、被告人の経済力が大きい場合には、非常に大きな額となる場合があります。
先ほど説明した通り、保釈金は人質のようなものだからです。
年収500万円の方が保釈金300万円払うのと、年収1億円の方が保釈金300万円をは払うのでは負担の度合いが違います。
そのため、テレビのニュースで、芸能人やどこかのお偉いさんが捕まったときの保釈金の額を見るとその方たちがどれくらい収入や資産をたくさん持っているかがよくわかります。
有名人の保釈金
実際に、有名人がどのくらいの保釈金を支払い保釈されているかを見てみましょう。
一般の方が、150~300万円の金額だとすると、すごい金額だということが分かります。
- カルロスゴーン 15億円(10億円+5億円)
- 堀江貴文 5億円
- 野村沙知代 5000万円
- 小室哲哉 3000万円
- 羽賀研二 2000万円
- 押尾学 1000万円
- ASKA 700万円
- 新井浩文 500万円
- 高知東生 500万円
- 酒井法子 500万円
- 清原和博 500万円
- 槇原敬之 300万円
- 吉澤ひとみ 200万円
「保釈金」は立て替えてもらえる
保釈金を支払えば保釈してもらえる。
けれども、お金がなくて保釈金を用意できない人もいます。
そうなると、お金がない人は保釈の制度を利用することもできません。
お金持ちの方と比べたら不平等な感じがします。
どちらにしろ裁判の判決後に保釈金は返してもらえます。
このような場合には、「日本保釈支援協会」など保釈金を貸してくれる機関があります。
- 立て替え額上限:500万円
- 立て替えは2ヵ月単位
- 50万につき1万2500円の手数料
まとめ
テレビでよく見聞きする「保釈金を払って保釈されました」。
テレビでは、芸能人や有名な人が報道され、一般の方は報道されることはないので、お金を持っている方がその力で出てきているイメージが強う胃です。
でも、詳しく調べてみるとそうではないみたいです。
裁判で有罪か無罪かが確定するまでの期間は、「一定の条件」と「人質となるお金」を理由に、自宅に戻ることを許可されているだけのことです。
裁判で刑が確定するまでは、まだ「怪しい人」という扱いなので、証拠隠滅をしたり逃げたりしなければ自宅でも問題はないわけです。
もちろん、どのような罪かということも重要なので、殺人などの容疑だと裁判所も保釈はさせないとは思いますが・・・。
なにより、保釈される時点で、一度容疑者として逮捕されているわけですし、一般の方はなかなか体験しないし現実離れしている話になります。
保釈うんぬんよりもまず普通に捕まらない生活を行うことが大切だと思います。