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CT検査とMRI検査の違い|見た目は同じでも中身は全然違う!?

病院で行われる検査の中に「CT検査」と「MRI検査」というものがあります。

この2つの検査は、検査を行う装置の見た目が似ている上に、寝台に寝て撮影するので、検査にどのような違いがあるのか分からず、同じ検査のように感じてしまいます。

また、医師の指示によっては、CT検査とMRI検査の2つの検査をどちらも実施することもあり、そのような場合には同じ検査を2回受けるような感覚に陥ってしまいます。

そのため、検査を受ける方からすると「さっきも同じ検査をしたのに・・・」「この間も他の病院で同じ検査をしたのに・・・」というふうに不安に感じてしまうこともあります。

ですが、CT検査とMRI検査はまったく異なる検査になります。

今回は、医療の知識がない方も、CT検査・MRI検査の2つの検査にどのようにの違いがあるのかを詳しく解説していきます。

CT検査・MRI検査の「装置」に関する違い

まずは、CT検査とMRI検査が、どのような装置を用いて、どのような検査を行っているのかを解説していきます。

「装置の見た目」の違い

CT装置とMRI装置の見た目の違いを比較します。

下にそれぞれの装置の画像を載せましたが、どちらがCT装置でどちらがMRI装置か分かりますか?

CT検査とMRI検査の違い|撮影原理・画像・検査費用・検査のながれetc
引用:医療法人社団 啓卯会 村上記念病院

CT検査とMRI検査の違い|撮影原理・画像・検査費用・検査のながれetc
引用:GEヘルスケア・ジャパン

答えは、上の画像がCT装置で、下の画像がMRI装置です。

ただ、見慣れない方が見ると、どちらも同じ装置に見えてしまいます。

そのため、検査を受ける方がどちらの検査を受けているのか分からなくなってしまうことがあります。

よく見ると「ガントリーの長さ」が違う

では、本当に見分けがつかないのかというとそうではありません。

あとで説明しますが、CT装置とMRI装置では撮影原理が異なるため、装置の形状や大きさも異なり、CT装置よりもMRI装置の方がガントリー部分が長くなります。

先ほど、見比べてもらった2つの装置の画像でも「ガントリー」と呼ばれる部分の長さが異なることが分かります(下の画像:赤矢印)。

装置の見た目で比較するのであれば、分かりやすい違いはこのガントリーの長さぐらいです。

CT検査とMRI検査の違い|撮影原理・画像・検査費用・検査のながれetc

「撮影原理」の違い

見た目はそっくりなCT装置とMRI装置ですが、その撮影原理はまったく異なります。

ちなみに、撮影原理とは撮影をするときに、どのようなものを利用して撮影をしているかということです。

CT検査の撮影原理は?

CT検査では、X線を利用し撮影を行っています。

そのため、撮影される画像は撮影部位の「X線の吸収率」の差を利用しています。

撮影では、CT装置のガントリーの中にある”X線管(X線を発生する)”と”検出器(撮影部位を通過したX線を受け取る)”が対の状態で回転し、データを収集していきます。

この収集したデータを画像にしたものがCT画像になります。

CT検査とMRI検査の違い|撮影原理・画像・検査費用・検査のながれetc
引用:国立循環器研究センター 循環器病情報サービス

MRI検査の撮像原理は?

MRI検査では、磁力を利用し撮像を行っています。

人の体はほとんどが水分ですが、この水分子を強力な磁力によって励起させ、そこに特定の周波数の電波を照射します。

一定の時間後に、電波を切ることで水分子の励起が緩和されるのですが、この速度差をデータとして収集します。

この収集したデータを画像にしたものがMRI画像になります。

MRIでは、体の中の水分子を利用して撮像するので、空気しかない肺や腸管ガスなどの撮像は苦手です。

CT検査とMRI検査の違い|撮影原理・画像・検査費用・検査のながれetc
引用:厚生連高岡病院

撮影原理が異なるので画像をつくるながれも異なる

CT検査の撮影は、まず撮影部位の「横断面(下の画像:緑の断面)」のデータを収集し、その収集したデータを利用して、任意の断面の画像や3D画像を再構成していきます。

つまり、データ収集さえしっかりされていれば、あとでいろいろな画像をつくることができるということです。

それに比べて、MRI検査の撮像は検査のときに撮像する断面を決めて検査を行います。

つまり、検査中に「矢状面(下の画像:赤の断面)・冠状面(下の画像:青の断面)・横断面(下の画像:緑の断面)」やその他の任意の断面の設定をして撮像を行うということです。

そのため、あとから必要な画像をあったとしても、あらたに画像をつくることができません。

ただし、電波の信号強度を変化させることで同じ断面でもいろいろな画像をつくることができます。

引用:ウィキペディア

「得意な撮影部位と病変」の違い

CT検査とMRI検査では、その撮像原理の違いから、撮影するにあたり得意な撮影部位や病変があります。

医師は、そのことを踏まえて、疑われる病変に合わせてCT検査とMRI検査の指示を行います。

ちなみに、撮像原理の説明で、CT検査は「X線」、MRI検査は「磁力」を利用していると言いましたが、それぞれの検査の得意な撮影部位と病変もこれに合わせたものになります。

CT検査ではX線の吸収率を利用しているので、X線の吸収率の差が大きい部位が得意な撮影部位となり、肺・腹部・骨などの部位になります。

また、脳出血やくも膜下出血などの検出にも優れています。

MRI検査では磁力を利用し体の水分子に影響されるので、水分子がある部位の撮影に優れ、脳・脊髄・関節などの部位になります。

ちなみに、水分子が少ない骨や空気については撮像はできません。

装置得意な撮影部位得意な病変
CT装置脳・肺・腹部・骨頭部外傷・脳出血・くも膜下出血
MRI装置脳・脊髄・関節・骨盤腔内臓器早期の脳梗塞・脳ドッグ

撮影された画像には似ているものもある

CT検査とMRI検査では撮影原理が異なるため、得られる画像データも異なり、”得意な撮影部位と病変”というものがありますが、同じ断面の画像については見た目的に似ている画像も多く、素人目では同じ画像に見えてしまいます。

例として、頭部CT画像と頭部MRI画像の同じ断面の画像を並べてみますが、とても似ているのが分かります(左:CT画像 右:MRI画像)。

CT検査とMRI検査の違い|撮影原理・画像・検査費用・検査のながれetc
引用:ギモンらど!!

実際に撮影されたCT画像

CT撮影での得意な撮影部位である頭、胸部、腹部のCT画像です。

「左:頭部CT、中央:胸部CT、右:胸腹部CT」のCT画像になります。

頭部CT胸部CT胸腹部CT
横断面横断面横断面
冠状面冠状面冠状面
矢状面矢状面矢状面
CT検査とMRI検査の違い|撮影原理・画像・検査費用・検査のながれetc
引用:医療法人 宝持会 池田病院

上から順に、「頭蓋骨の3D画像」「心臓の3D画像」「腹部の血管の3D画像」です。

CT撮影での得意な部位であるのできれいに再構成されています。

CT検査とMRI検査の違い|撮影原理・画像・検査費用・検査のながれetc
引用:南奈良総合医療センター

CT検査とMRI検査の違い|撮影原理・画像・検査費用・検査のながれetc
引用:岡谷市民病院

CT検査とMRI検査の違い|撮影原理・画像・検査費用・検査のながれetc
引用:茨木県厚生連 県北医療センター 高荻共同病院

実際に撮像されたMRI画像

MRI検査では、同じ断面を複数の画像データとしてつくることができます。

画像は、頭部を同じ断面で異なる画像データとしてつくったものです。

CT検査とMRI検査の違い|撮影原理・画像・検査費用・検査のながれetc
引用:せたがや上町脳神経クリニック

画像は、頭部の血管の画像です。

CT検査とMRI検査の違い|撮影原理・画像・検査費用・検査のながれetc
引用:せたがや上町脳神経クリニック

「検査室の構造」の違い

CT検査は「X線」を利用して撮影を行い、MRI検査は「磁力」を利用して撮影を行います。

そのため、それぞれの検査を行うにあたって、検査室の外部に影響が出ないように検査室の構造も特殊なつくりになっています。

CT検査室では「X線」が漏洩しないように壁や天井に”鉛シールド”が施され、MRI検査室では「磁力」が漏洩しないように壁や天井に”電波シールド”や”磁気シールド”が施されています。

装置遮蔽すべきもの構造体
CT装置X線鉛シールド
MRI装置磁気・電波磁気シールド・電波シールド

CT検査・MRI検査の「検査」に関する違い

次に、CT検査とMRI検査の検査のながれについて、どのような部分が違うかを解説していきます。

「検査のながれ」の違い

CT検査とMRI検査のながれはそれほど大きく変わりません。

ただ、微妙に異なる部分もあるのでその点について解説します。

それぞれの検査のひと通りのながれを表にしました。

CT検査MRI検査
CT室に入室する更衣を行う
更衣を行うMRI室に入室する
寝台に寝る寝台に寝る
撮影・被ばく
(5分~15分)
撮像
(15分~30分)
撮影終了・更衣撮像終了・更衣
退室退室

検査前の更衣について

CT検査・MRI検査はともに更衣が必要になります。

これは、撮影部位に障害になるものがあって画像に影響が出ては困るからです。

表を見ると、CT検査では入室後に更衣を行い、MRI検査では入室前に更衣を行っているのが分かります。

この理由は、MRI室には強い磁力が漂っているため、MRI室に入室前に更衣を済ませ、余計なものを持っていないか確認をしなくてはいけないからです。

検査時間について

CT検査とMRI検査では、検査の時間が異なります。

表に記載してある通り、CT検査の撮影時間は5分~15分、MRI検査の撮像時間は15分~30分になります。

この検査時間の差は、”「撮影原理」の違い”で説明しましたが、CT撮影とMRI撮影では、画像データの収集の方法が違います。

CT検査では撮影部位の横断面のデータを収集し、そのデータから任意の断面の画像を再構成し、MRI検査では検査をしながら必要な断面の画像データを収集していきます。

そのため、MRI検査では必要な断面の画像データが増えるほど検査時間が増加していくことになります。

MRI検査は医師の指示により約5分の撮像を複数回繰り返していきます。そのため、5つの種類の撮像の指示があれば、「5分・5分・5分・5分・5分」=25分の撮像時間になります。この指示が増えれば、その分検査時間は増えていくので、MRI検査はCT検査に比べ、時間がかかる検査と言えます。

撮影時の放射線被ばくについて

CT検査では、X線を使用しているので放射線被ばくを避けることはできません。

それに比べて、MRI検査では磁力を使用しているので体に悪影響が出ることはないと言われています。

ただ、眉墨や刺青、タトゥーなどをしている方は、何度も何度もMRI検査を受けていると徐々に色が変色してくることがあります。

ペースメーカーをしている方はMRI検査を受けられない

MRI検査は強い磁気を使用して検査を行うため、磁気によって影響を受けるものが体の内部にある方は検査を受けることができません。

検査を受けられない方の例を挙げると

  • ペースメーカーをされている方
  • 整形外科の手術で金属製のプレートが入っている方

などになります。

最近では、MRI対応のペースメーカーや磁気に影響を受けないチタン製のプレートなどもあるので、検査前に手術を行った主治医に確認し、大丈夫ならMRI検査を行います。

「検査中の音・圧迫感」の違い

CT検査、MRI検査ともに寝台に寝て、ベルトで体を固定した状態で検査を行いますが、MRI検査はベルトに加えて、目的とする部位に合わせてコイルを装着しなくてはいけなく、さらにMRI検査では体を動かしてはいけない時間が長いのでしっかり固定されます。

また、寝台を動かしながら撮影を行うCT検査に比べて、MRI検査では寝台がガントリーの奥深くの定位置まで移動し寝台が停止すると、検査終了まで動くことがありません。

そのため、2つの検査を比べると、MRI検査の方がかなりの圧迫感があり、頭部のMRI検査においては圧迫感が強く、閉所恐怖症の方では検査ができない方が多いです。

検査中の音については、CT検査ではガントリの中にあるX線を出す管球が回る音が多少しますが、あまり気になりません。

それに比べてMRI検査では、「ギギギ」「ガガガ」「ゴゴゴゴ」など工事現場のような大きな機械音が鳴り響くので、その音を不快音として感じる方が多いです。

CT検査MRI検査
体の固定圧迫感(小)
軽いベルト固定
圧迫感(大)
専用のコイルとベルトでしっかり固定
検査中の音静か工事中のような音でかなりうるさい

「検査費用」の違い

検査の費用は、医療施設に設置されているCT装置・MRI装置のスペックによって変化します。

ここで、重要なのは同じ検査をしたとしても、機械のスペックが良ければ検査費用は高くなるという部分です。

細かい部分まで加味すると比較が難しくなるので、今回は一般的な病院に設置されている64列CTと1.5テスラMRIで頭部の検査をした場合の検査費用を比較しようと思います。

64列CT1.5テスラMRI
保険適用なし14,500円20,500円
保険適用(3割)4,350円6,150円

長を見て分かるように、MRI検査の方が金額が高く、費用がかかることが分かります。

ちなみに、ここで示した金額はあくまでも検査費用だけなので、実際に病院を受診すると、この金額に診察料などの他の費用がかかることになります。

CT検査とMRI検査の違い:まとめ

今回、解説した内容を一覧表にしました。

CT検査MRI検査
装置の見た目
(ガントリーの長さ)
100cm~150cm150cm~250cm
撮影原理X線
(X線の吸収に関係)
磁力
(水分子の量に関係)
画像再構成収集した横断面のデータから任意の断面を再構成撮像時に任意の断面をデータ収集
得意な撮影部位脳・肺・腹部・骨脳・脊髄・関節・骨盤腔内臓器
得意な病変頭部外傷・脳出血・くも膜下出血早期の脳梗塞・脳ドッグ
検査室の構造鉛シールド磁気シールド・電波シールド
撮影方法寝台に寝た状態で撮影
(寝台は撮影中に動く)
寝台に寝た状態で撮影
(寝台は撮影中は固定)
検査時間5分~15分15分~30分
放射線被ばくありなし
体の固定圧迫感(小)
軽いベルト固定のみ
圧迫感(大)
専用のコイルとベルトでしっかり固定
検査中の音静か工事中のような音でかなりうるさい
画像骨は白く、空気は黒
(X線の吸収率による)
骨、空気は無信号
(水分子の量による)
検査費用14,500円
(3割負担:4,350円)
20,500円
(3割負担:6,150円)

CT検査とMRI検査は、似たような医療機器で実施される検査ですが、その中身はまったく異なります。

もしも、検査を受けられるときには参考にしていただければと思います。

また、それぞれの検査の詳細については別の記事で個別にまとめていますので、興味がある方はご参照ください。