レントゲン

CT検査をわかりやすく解説|検査を受ける前に知っておきたいこと!!

病院で行われる検査の中に「CT検査」というものがあります。

このCT検査は、X線を使って身体の断面を撮影する検査なのですが、通常、単純レントゲン撮影をしたあとに、医師が必要性があると判断した場合に実施される検査で、必ずしも行う検査ではありません。

では、どのようなときにCT検査は実施されるのでしょうか?

今回は、病院で実施される「CT検査」について、検査のながれ・分かる病気・被ばく量・検査時間・検査費用などを詳しく解説していきます。

CT装置とはどんなもの?

CT検査をわかりやすく解説|検査のながれ・分かる病気・被ばく量・検査時間・検査費用etc
引用:キャノンメディカルシステムズ株式会社

CT装置はX線を使って身体の断面を撮影する医療機器になります。

CTという名前は”Computed Tomography”を略したもので、「コンピュータ断層撮影」という意味があります。

ちなみに、CT装置の各部位の名称は下の画像の通りです。

CT検査をわかりやすく解説|検査のながれ・分かる病気・被ばく量・検査時間・検査費用etc
引用:キャノンメディカルシステムズ株式会社

CTの撮影原理

CT装置では、X線を使用し撮影を行っていて、撮影される画像は撮影部位の「X線の吸収率」の差に影響されます。

撮影では、ガントリーの中にある”X線管(X線を発生する)”と”検出器(撮影部位を通過したX線を受け取る)”が対の状態で回転し、データを収集していきます。

この収集したデータを画像にしたものがCT画像になります。

CT検査をわかりやすく解説|検査のながれ・分かる病気・被ばく量・検査時間・検査費用etc
引用:国立循環器研究センター 循環器病情報サービス

X線管が回転するスピードは???

CT装置のガントリーの中には、X線管と検出器がありガントリー内を回転しながら撮影を行っていきます。

この回転のスピードはCT装置ごとで異なりますが、画像を引用させて頂いているキャノンのCT装置で、1回転あたり最速0.275秒で回転するとなっています。

CT検査をわかりやすく解説|検査のながれ・分かる病気・被ばく量・検査時間・検査費用etc
引用:キャノンメディカルシステムズ株式会社

ちなみに、X線管や検出器はかなりの重さなのですが、この2つが回転することでガントリーにかかるG(重力)は48.5Gになるそうです。

ジェットコースターに乗ったときのGは4~5Gと言われているので、撮影中はガントリーにかなりの負荷がかかっていることになります。

CT装置からの放射線被ばく

CT検査を受けることでの放射線被ばくは、撮影部位や撮影条件、造影剤の使用によって変わりますが、単純X線撮影検査の100~200倍と言われています。

この理由は、人体の断面像を得るために撮影時間も少し長く、出力も多めになっているからです。

ただ、CT検査によるX線の線量が単純X線撮影検査よりも多いからと言って、身体に影響が出る量の放射線被ばくをしているわけではないので、安心して検査を受けることが可能です。

また、最近のCT装置には、自動露出機構といって個人の体格に合わせてX線の量が決定する機構が備わっているため、以前に比べて放射線被ばくの量も減少しています。

他の病院でCT検査を受けていても近い期日でCT検査を再度受けてもよいのか?

複数の医療施設を受診している場合、それぞれの病院でCT検査の指示が出ることがあります。

このようなときには、放射線被ばくが気になってしまうことがありますが、放射線被ばくの影響は身体に蓄積するわけではないので心配することはありません。

ただ、同じ撮影部位のCT検査を行う場合には、他の医療施設で撮影した画像データをその医療施設に提出すれば、検査を受けなくてもいい場合があるので、病院受診の際には受付時に問い合わせを行いましょう。

妊娠中CT検査を受けることでの影響は?

妊娠中にCT検査を受けると、胎児に奇形などの影響が出ると心配される方がいますが、胎児に奇形などの影響が出る線量は研究によって調べられていて、その線量を超えないように検査が行われるようになっています。

ただ、ほとんどの医療施設において、相当な必要性がない限りには妊娠中の方に対して放射線被ばくを与えるような検査を行っていません。

CT装置の性能

CT装置は一度にどれだけ複数の断面を撮影できるかで性能が分けられ、この”一度に撮影”とは、ガントリー内をX線管が1回転するたびにということです。

この撮影できる断面数は「○○列」というふうに表されており、検出器が何列並んでいるかを示しています。

もちろん、列数が増えるほど多くの断面を一度に撮影することができることになります。

CT検査をわかりやすく解説|検査のながれ・分かる病気・被ばく量・検査時間・検査費用etc
引用:キャノンメディカルシステムズ株式会社

下の表に、医療施設や研究機関で使用されているCT装置をまとめました。

クリニックや小さな病院では、4列や16列のCT装置が用いられていることが多く、大きな病院では64列のCT装置が用いられていることが一般的です。

また、128列以上のCT装置は研究機関に設置されていることが一般的です。

○○列性能
4列マルチスライスCT4断面を同時撮影
16列マルチスライスCT16断面を同時撮影
32列マルチスライスCT32断面を同時撮影
64列マルチスライスCT64断面を同時撮影
128列マルチスライスCT128断面を同時撮影
320列マルチスライスCT320断面を同時撮影

多列のCT装置になるほど撮影時間を短縮できる

多くの断面を1回転の間に撮影できるということは、一度に広い範囲をまとめて撮影できるだけではなく、撮影時間も短縮することができます。

この撮影時間の短縮は、検査を受ける方の負担の軽減にも繋がります。

仮に、4列のCTと64列のCTの撮影条件を同じにし、胸腹部CT(約100㎝)を5㎜間隔で撮影したとすると、4列CTでは撮影時間が50秒かかるのに対し、64列CTではたった4秒で撮影が終了することが分かります。

CT1回の撮影の距離撮影に必要な回転数1回転が1秒の場合
4列CT5㎜×4列=2㎝100cm÷2㎝=50回転1撮影に50秒かかる
64列CT5㎜×64列=32㎝100cm÷32㎝≒4回転1撮影に4秒かかる

一度に広い範囲を撮影できることは「心臓」などの臓器にも有用!!

体の臓器の中には、心臓のように絶えず動いている臓器もあります。

このような臓器は、CT撮影をするからといって止めることはできないため、1拍動の間に撮影を済ますことができるような撮影スピードと広い撮影範囲が求められます。

そのため、心臓CTの撮影を行っている病院では、基本的に64列のCTが設置されています。

  • 16列CT装置以上:骨折などの疾患
  • 64列CT装置以上:心臓、広い範囲の血管

撮影画像のつくり方

CT装置は、撮影部位の横断面(下の画像:緑の断面)のデータしか収集することができません。

だからといって、横断面の画像しかつくることができないわけではなく、この収集した横断面の画像から任意の断面の画像をつくることができます。

また、任意の断面だけではなく3D画像もつくることができます。

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引用:ウィキペディア

横断面の画像データ収集は薄い厚さで行う

CT撮影を行うときには、あとで画像の再構成をすることを考えて、薄い厚さで撮影をしておくことが一般的です。

このときの撮影断面の厚さは撮影時に設定しますが、ほとんどの場合0.625㎜以下の厚さになります。

これ以上の厚さで撮影を行ってしまうと、画像を再構成した際にきれいな画像をつくることができない場合があります。

逆に、元の横断面のデータが薄い厚さであるほど情報量が多いため、再構成した画像はきれいな画像になります。

CT検査をわかりやすく解説|検査のながれ・分かる病気・被ばく量・検査時間・検査費用etc

再構成された3D画像

3D画像は、細かい診断にはあまり用いられませんが、大まかな状態の把握や患者への検査説明にはとても有用な画像になります。

何より患者からすると、普通の断面像を見せられて説明されるよりも3D画像を見ながらの方が医師の説明を理解しやすいです。

いろいろな病院のホームページに載せられているCT検査の3D画像を集めてみました。

CT検査をわかりやすく解説|検査のながれ・分かる病気・被ばく量・検査時間・検査費用etc
「頭蓋骨の3D画像」
引用:南奈良総合医療センター

CT検査をわかりやすく解説|検査のながれ・分かる病気・被ばく量・検査時間・検査費用etc
「心臓の3D画像」
引用:岡谷市民病院

CT検査をわかりやすく解説|検査のながれ・分かる病気・被ばく量・検査時間・検査費用etc
「腹部の血管の3D画像」
引用:茨木県厚生連 県北医療センター 高荻共同病院

CT検査をわかりやすく解説|検査のながれ・分かる病気・被ばく量・検査時間・検査費用etc
「大腸CT」
引用:医療法人社団 明芳会 高島平中央総合病院

得意な撮影部位と病変

CT検査はX線の吸収率の差を利用して画像がつくられるため、X線の吸収率の差が多い部位では診断能の高い画像を撮影することができます。

また、CT撮影は空間分解能(細かく見る能力)が高いので、1㎜以下のとても小さな病変も見つけることが可能です。

得意な撮影部位肺、肝臓、膵臓、腎臓、骨など
得意な病変肺炎、肺がん、胸水、腹部腫瘍、尿管結石、腎結石、脳出血、副鼻腔炎、骨折など

CT検査をわかりやすく解説|検査のながれ・分かる病気・被ばく量・検査時間・検査費用etc
「新型コロナウイルスによる肺炎」
引用:武見基金 COVID-19有識者会議

CT検査をわかりやすく解説|検査のながれ・分かる病気・被ばく量・検査時間・検査費用etc
「肺がん」
引用:日本赤十字社 熊本健康管理センター

CT検査をわかりやすく解説|検査のながれ・分かる病気・被ばく量・検査時間・検査費用etc
「腎結石」
引用:社会医療法人 北腎会 坂泌尿器科病院

CT検査をわかりやすく解説|検査のながれ・分かる病気・被ばく量・検査時間・検査費用etc
「脳出血」
引用:医療法人 泰庸会 新潟脳外科病院

CT検査のながれ

CT検査には、単純CT撮影と造影剤を使用して行う造影CT撮影があります。

造影CT撮影で使用する造影剤には副作用がありますが、得られる情報量はとても多く、癌の疑いや、血管を描出する際には必ず用いられます。

単純CT撮影と造影CT撮影では、検査のながれが多少異なるので別々に説明していきます。

単純CT検査のながれ

単純CT検査は、入室から退室までを5~15分程度で終了することができます。

  1. 検査室に入室
  2. 必要な場合は更衣を行う。
  3. 寝台に寝る。
  4. 撮影(寝台が動いていきます)
    • スカウト撮影(本スキャンを行う位置を決める撮影)
    • 本撮影(必要に応じて息止めを行います)
  5. 撮影終了
  6. 更衣
  7. 退室

造影CT検査のながれ

造影CT検査は、入室から退室までを15~20分程度で終了することができます。

単純CT検査よりも検査時間が長くなるのは、単純撮影を行った後に造影剤を使用した撮影を追加で行うからです。

また、造影剤を使用するので、検査前に副作用の説明と検査の同意書へのサインを行う必要があります。

  1. 造影剤の問診をとる(アレルギー、既往歴、腎機能など)
  2. 検査室に入室
  3. 必要な場合は更衣を行う。
  4. 寝台に寝る。
  5. 腕の静脈にルートを確保する(造影剤を入れるため)
  6. 撮影(寝台が動いていきます)
    • スカウト撮影(本スキャンを行う位置を決める撮影)
    • 単純撮影(必要に応じて息止めを行います)
    • 造影撮影(造影剤を注入しながら撮影)
  7. 撮影終了
  8. 腕のルートをはずします。
  9. 更衣
  10. 退室
    • 造影剤の副作用が出ないか少し様子をみます。

造影CT検査の有用性

造影CT検査では、単純CT撮影では撮影することのできない血管や腫瘍などを造影剤を使用することにより描出することができます。

ただ、造影剤を使用することで副作用が出ることもあり、その使用にあたってはしっかりした説明をしたあとに同意書へのサインを求められます。

造影剤を使用することで、

  • 造影剤を使用してないときの画像
  • 造影剤を使用してすぐの画像(動脈の画像)
  • 造影剤を使用して少ししてからの画像(静脈の画像)

といった同じ断面でも複数の画像を得ることができます。

これにより、判別が難しい腫瘤病変などの確認を行うことができます。

造影剤の副作用とは?

造影剤の使用によって副作用が出現する方もいますが、ほとんどの方は異常なく造影CT検査が終わります。

また、副作用にも軽いものから重篤なものまであり、検査中に重篤な副作用が出現した場合にはすぐさま検査を中止します。

副作用症状
軽い副作用吐き気、嘔吐、頭痛、めまい、発疹、かゆみ、発熱、せき など
重い副作用重い不整脈、ショック、けいれん、腎不全、意識消失 など
血管外漏出稀に造影剤が血管外に漏れ、痛みや腫れが生じることがある

また、副作用が出現しやすい方にも特徴があり、検査前の問診で以下のような既往がある方は検査を行わない場合もあります。

  1. 今までに造影剤による副作用を起こしたことのある方
  2. 喘息などアレルギー性疾患をお持ちの方(アレルギー体質の方)
  3. 心臓の病気、腎臓の病気、糖尿病、甲状腺の病気をお持ちの方

造影剤による副作用の発生をあらかじめ予知することはできませんが、検査前に水分を多めに摂ることで副作用の発生頻度が少なくなると言われています。

撮影部位によっては水分を摂れない場合もあるので、検査前に確認しておくことが重要です。

CT撮影の検査費用

「CT装置の性能」の説明で、”○○列”によってCTの性能が異なることを説明しましたが、CT撮影の検査費用もCT装置の性能ごとで異なります。

そして、もちろん性能が良くなるほど検査費用も高く請求できるように設定されています。

CTの性能検査費用保険適用(3割)
64列以上14,500円4,350円
16列以上64列未満13,500円4,050円
4列以上16列未満12,000円3,600円
それ以外10,100円3,030円

医療施設におけるCT装置の設置状況

日本の医療施設におけるCT装置の設置状況は、世界的に見ても多いです。

その理由は、短時間(5~15分)で撮影でき検査費用も高いからです。

仮に、1件の撮影時間を15分(1時間に4件撮影)として1日7時間64列CT装置を稼働させるとすると、”4件×7時間×14,500円=406,000円”となり、1日で40万円の診療報酬をえることになります。

月に20日間の稼働だとしても800万円の売上になります。

CT装置の導入費用が2,000~3,000万円とされているので、ランニングコストを考慮したとしても、かなりの儲けが出ます。

無駄な検査がないように厳しく調べられている

医療施設的には大きな収益が見込めるCT検査ですが、必要のないCT検査をされてしまっては、患者にとっては放射線被ばくや余計な医療費の請求などの不利益が生じます。

そのようなことがないように、行われた検査については第三者機関(社会保険事務所、国保連合会など)によって細かく検査されています。

もしも、医療的な見地で必要のない検査であった場合には、医療施設にはお金を返金するように指導が入ります。

そのため、無駄な検査が行われないような仕組みになっています。

CT検査をわかりやすく解説:まとめ

今回、CT検査について解説した内容のまとめです。

撮影原理X線(X線の吸収に関係)
放射線被ばくあり(レントゲンの100~200倍)
性能「○○列」が増えるほど性能UP
画像再構成収集した横断面のデータから任意の断面を再構成
得意な撮影部位肺、肝臓、膵臓、腎臓、骨など
得意な病変肺炎、肺がん、胸水、腹部腫瘍、尿管結石、腎結石、脳出血、副鼻腔炎、骨折など
撮影方法寝台に寝た状態で撮影
(寝台は撮影中に動く)
検査時間5分~15分
検査費用10,100~14,500円
(保険3割:3,030~4,350)

CT検査は、単純X線撮影で判別がつきづらい疾患などもきちんと確認することができる有能な検査です。

検査を受けるデメリットとして、放射線被ばくや造影剤を使用する場合には副作用の心配もありますが、それ以上に必要な医療情報を数多く得ることができるため行われています。

病院を受診し、CT検査を受ける場合には参考にしていただければと思います。

また、CT検査に似ている検査にMRI検査がありますが、別の記事でまとめていますので、興味がある方はご参照ください。