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「懲役○○年、執行猶予△△年」さて、『執行猶予』とは何だろう?

ニュースで見る裁判の判決の報道。

「懲役○○年、執行猶予△△年」

「懲役○○年」は、刑務所に何年間入っておきなさいという意味だというのはわかります。

では、「執行猶予△△年」は、何をしないといけないのでしょうか???

この執行猶予という言葉が、どのような意味を表しているのかを調べてみました。

懲役とは?

「懲役○○年、執行猶予△△年」。

テレビで、裁判の判決結果が報道されるたびによく聞く言葉です。

でも、聞き慣れているからと言って、詳しく意味を知っているわけではありません。

まずは、「懲役」についても簡単にまとめていきます。

懲役は、裁判で有罪になった犯罪者を、受刑施設で労務作業を行わせる刑罰です。

行わされる労務作業は、炊事や木工、掃除や工場での労働などになります。

犯罪者だからといって、不眠不休で働かせるということはなく、労働基準法にのっとり1日8時間労働になります。

また、この働いた賃金として月5,000円程度のお金が支給され、刑務所から出るときにそのお金をもらうことができます。

ちなみに、懲役は労務作業を行う刑罰になりますが、労務作業を行わなくていい禁固刑というものもあるらしいです。

日本の刑事罰は刑の重い順に並べるとこうなります。

死刑 ⇒ 懲役刑 ⇒ 禁固刑 ⇒ 罰金刑 ⇒ 拘留 ⇒ 科料 ⇒ 没収

執行猶予とは?

次に、「執行猶予」ですが、これって言葉をよく見るとなんとなく意味が分かります。

執行猶予 ⇒ 執行を猶予する

言葉の意味を考えると、「判決で決まった刑の執行を一定期間猶予する」と考えることができそうです。

実際、この言葉の意味の通り、「執行猶予」とは、有罪判決を受けたとしても、ある一定期間その刑を行うことを”猶予”して、その期間に罪を犯さなければ、その刑が無くなるという制度です。

つまり、「懲役○○年執行猶予△△年」と裁判所で有罪判決を受けたとしても、”執行猶予の△△年”の間、おとなしく何も悪いことをしなければ、”懲役○○年”が無くなるというしくみということです。

執行猶予を過ごせば刑が無くなる???

ここで、気になるのが、執行猶予の期間、何も悪いことをせずに過ごせば、刑が無くなるという部分です。

これって、かなりすごいことです。

執行猶予つきの判決が出れば、刑務所に入らずに普通の生活を過ごせて、しかも、その間に悪いことをしなければ懲役刑も免除されるわけですし・・・。

これなら、裁判を受けている人は、裁判の判決に”執行猶予”をつけれるかどうかがかなりのポイントになります。

執行猶予の条件

一定期間、悪いことをせずに過ごすことで刑が無くなってしまう「執行猶予」。

この執行猶予ですが、それなりの条件はないのでしょうか?

調べてみると、どんな判決でも執行猶予がつくわけではないみたいです。

執行猶予を受けるためには、

  • ある程度の期間以下の懲役であること
  • 過去に懲役刑や禁錮刑を受けていないこと

が条件になるみたいです。

条件を満たした上で、被告人が社会の中で厚生が期待できる場合に執行猶予がつくことになります。

また、執行猶予はどのような罪でもつくわけではなくて、殺人罪や放火の罪などの重い罪ではつくことはありません。

執行猶予の中でも厳しいものがある

執行猶予をつけてもらったとしても、通常の執行猶予よりも厳しい条件を課せられるものもあります。

それは、「保護観察処分」「一部執行猶予」の2つです。

保護観察処分

執行猶予がついたとしても「保護観察処分」になることがあります。

この保護観察処分は、通常の執行猶予よりも厳しい制限がかかります。

通常の執行猶予は、今までの生活と同じように過ごし、罪を犯さなければ懲役がなくなるというものです。

ですが、”保護観察”がつくと、公的な保護観察官や保護司による指導監督を受けないといけなくなります。

そのため、保護観察期間中、被告人は定期的にその人達に会い、その人達の指示に従って生活を送らないといけなくなります。

懲役や禁錮を受けないといけない執行猶予

執行猶予でも懲役や禁錮を受けなければいけないものもあります。

その制度を「一部執行猶予」といいます。

この一部執行猶予では、裁判で言い渡された刑のうち、その一部を行ってから執行猶予期間に入ります。

そのため、2年の懲役だとしたら、1年刑務所で過ごして残りの1年を執行猶予期間で過ごすような感じになります。

執行猶予について:まとめ

裁判の判決で言われる「執行猶予」は、有罪判決を受けたとしても、ある一定期間その刑を行うことを”猶予”して、その期間に罪を犯さなければ、その刑が無くなる制度です。

つまり、「懲役○○年、執行猶予の△△年」というのは、”懲役○○年”が無くなるかもしれないってことを表しています。

裁判中は、執行猶予をつけれそうな裁判のときには、裁判所に被告人が刑務所に入らなくても厚生できる事情を、弁護士が必死になって説明するらしいです。

その事情は、

  • 被害者と示談したこと
  • 被告人を指導監督してくれる人の確保(家族など)
  • 治療方針・病院の確保(治療が必要な場合)

などになります。

セクハラとか暴力を金持ちがお金で解決するシーンをテレビでよく見ますが、それは、この事情の中に”被害者との示談”というのが入っているからだと思います。

個人的には、セクハラや暴力などの人を傷つける犯罪が示談によって執行猶予がつけられるのはどうかと思いますが・・・。

いかがなものでしょうか・・・(^_^;)