病院のレントゲン撮影は、受診した患者の症状で撮影が必要な場合に行われます。
目的の撮影部位やその部位に合わせた撮影方法は数多くあり、もちろん必要な場合にはたくさんの撮影を行います。
今回は、その中の代表的な撮影について、一部ですが撮影手順や撮影画像をご紹介します。
病院で行われるレントゲン撮影
病院で行われるレントゲン撮影は、基本的に撮影方法のマニュアルがあり、そのマニュアルにそった撮影方法で撮影されます。
ただ、そのマニュアルが絶対というわけではなく、撮影の指示を出した医師の求める画像を診療放射線技師が工夫して撮影している現状があります。
今回、まとめた撮影手順は基本的なものです。
そのため、病院を受診しレントゲン撮影を行った場合に、撮影方法に違いがある場合もありますのでご了承ください。
「頭」のレントゲン撮影
どんなときに撮影するのか?
頭蓋骨(頭の骨)を調べることを目的とした検査になります。
頭を強く打ったときなど、骨折がないかを確認したい時に撮影します。
頭の中に出血をしていないかまでを詳しく調べるときには「頭部CT検査」も追加で撮影します。
撮影手順
頭部レントゲン撮影は、「仰向けに寝た状態」か「座った状態」で行います。
- 仰向けの状態 ➡ カセッテ(フィルム)に後頭部をつけて撮影
- 座った状態 ➡ カセッテ(フィルム)におでこをつけて撮影
撮影時にはずすもの
- メガネ
- ピアス
- ヘアピン など
「頸椎」のレントゲン撮影
どんなときに撮影するのか?
頸椎(首の骨)を調べることを目的とした検査になります。
交通事故などによる外傷での骨折の確認や、手の痺れがある際など神経の圧迫の確認をするために撮影を行います。
撮影手順
頸椎レントゲン撮影は、「立った状態」か「座った状態」で行います。
カセッテ(フィルム)に背中を向け、少しあごを上げた状態で撮影します。
女性の方は、「ブラジャー」や「スリップ」の肩ひもについているプラスチックが写真に入り込むため、はずしてもらう場合があります。
病院を受診する場合には、スポーツブラを着用しているとスムーズに検査を行えます。
撮影時にはずすもの
- メガネ
- ピアス
- ヘアピン
- ネックレス
- 湿布
- エレキバン など
「胸部」のレントゲン撮影
どんなときに撮影するのか?
肺の中や心臓の形、大きさを調べることを目的とした検査になります。
年に1度ある健康診断で撮影されるものが胸部レントゲン撮影で、ほとんどの方が1度は検査されたことがあると思います。
風邪がひどい場合にも、肺炎や気管支炎を疑い胸部レントゲン撮影は行われます。
撮影手順
胸部レントゲン撮影は、「立った状態」で行います。
金具のついた下着やネックレスをはずさないといけないので、必要な場合は着替えを行います。
撮影は、胸をカセッテ(フィルム)につけて、腕を内側にひねります。
女性の方は、「スポーツブラ」をつけていけば金具がついていないので、はずさないでよくなります。
ストーンのついた洋服・濃いペイントをされた洋服は、脱ぐ必要がありますので、金具や装飾のついていない無地の洋服で、病院を受診するようにしましょう。
撮影時にはずすもの
- ネックレス
- ブラジャー
- 湿布
- エレキバン など
「腹部」のレントゲン撮影
どんなときに撮影するのか?
腹痛の原因(便秘など)を確認したり、胆石・腎結石・尿管結石などの結石の状態を確認することを目的とした検査になります。
撮影手順
腹部レントゲン撮影は、「立った状態」で行います。
金具のついた下着やベルト、チャックなどは写真に写ってしまうので、必要な場合は着替えを行います。
撮影は、お腹をカセッテ(フィルム)につけて行います。
女性の方は、ブラジャーのワイヤーが写真に写ってしまうので、はずす必要があります。
着替える必要のないスポーツブラを着けて検査を受けましょう。
撮影時にはずすもの
- ブラジャー
- ベルト
- チャックなどの金具がついたズボン
- 湿布
- エレキバン
- ホッカイロ など
「肩関節」のレントゲン撮影
どんなときに撮影するのか?
肩や上腕の痛みの原因を調べることを目的とした検査になります。
中高年になると、五十肩で肩の痛みを訴る方が多く、よく撮影をされるレントゲンです。
撮影手順
肩関節レントゲン撮影は、「立った状態」か「座った状態」で行います。
上半身に身に着けている金具・プラスチックは全部はずした状態で撮影を行うため、必要な場合は着替えを行います。
撮影は、肩の背中側をカセッテ(フィルム)につけて行います。
撮影法によって、腕を動かしたりします。
女性の方は、ブラジャーやスリップを脱ぐ必要がありますので、スポーツブラを着用しましょう。
撮影時にはずすもの
- ブラジャー
- 湿布
- エレキバン など
「肘関節」のレントゲン撮影
どんなときに撮影するのか?
肘関節(肘の骨)を調べることを目的とした検査になります。
肘は、転倒や転落などによって骨折することが多く、また剥離骨折なども多くなります。
撮影手順
肘関節レントゲン撮影は、「座った状態」で行います。
肘に湿布をつけている場合ははがし、カセッテ(フィルム)に肘を乗せた状態で撮影します。
撮影は、基本的に「腕を伸ばした状態」と「腕を90度に曲げた状態」の2方向撮影になります。
撮影時にはずすもの
- 湿布 など
「手関節」のレントゲン撮影
どんなときに撮影するのか?
手関節(手首の骨)を調べることを目的とした検査になります。
手首の痛みがあるときに撮影をします。
人は倒れたときに手をつくので、手首を骨折しやすく特に高齢者で頻発します。
撮影手順
手関節レントゲン撮影は、「座った状態」で行います。
手首に湿布をつけている場合ははがし、カセッテ(フィルム)に手首を乗せた状態で撮影します。
撮影は、基本的に「手の平を下に向けた状態」と「小指側を下にして手の平を立てた状態」の2方向撮影になります。
撮影時にはずすもの
- 湿布
- ブレスレット
- 時計 など
「手」のレントゲン撮影
どんなときに撮影するのか?
手根骨(手の平の骨)や手指骨(手の指の骨)を調べることを目的とした検査になります。
ドアに指をはさんだり、突き指など、手のひら・指に痛みがあるときに撮影をします。
撮影手順
手のレントゲン撮影は、「座った状態」で行います。
手に湿布をつけている場合ははがします。
基本的に、痛みのある部分(手の平や指など)を中心に2方向で撮影します。
撮影時にはずすもの
- 指輪
- 時計
- ブレスレット など
「骨盤」のレントゲン撮影
どんなときに撮影するのか?
骨盤骨(骨盤の骨)や股関節(足のつけ根の骨)を調べることを目的とした検査になります。
倒れて尻もちをつき痛みがあるなどのときに撮影をします。
特に、高齢者においては転倒を原因とした股関節の骨折が多いです。
撮影手順
骨盤レントゲン撮影や股関節レントゲン撮影は、「寝た状態」で行います。
湿布がある場合ははがし、ベルトやチャックなど撮影範囲に金属等があるときには着替えを行います。
撮影時にはずすもの
- ベルト
- チャックがあるズボン
- 湿布
- エレキバン など
「膝関節」のレントゲン撮影
どんなときに撮影するのか?
膝関節(膝の骨)を調べることを目的とした検査になります。
膝の痛みがあるときに撮影をします。
倒れて膝をうった場合での撮影や骨の変形によっての慢性的な痛みによっても撮影することがあります。
撮影手順
膝関節レントゲン撮影は、「寝た状態」で行います。
湿布がある場合ははがし、ズボンをまくって撮影する膝を出します。
撮影時にはずすもの
- 湿布 など
「足関節」のレントゲン撮影
どんなときに撮影するのか?
足関節(足首の骨)を調べることを目的とした検査になります。
足首をひねったときなど、足首が痛いときに撮影をします。
特に多いものが「捻挫」での撮影です。
撮影手順
足関節レントゲン撮影は、「寝た状態」で行います。
湿布がある場合ははがします。
基本的には、「足をまっすぐ伸ばした状態」と「足首を横に倒した状態」で撮影をしますが、捻挫で足首をひねっている場合には、ストレス撮影といってどこまで靱帯が伸びているか確認するために足首をひねって撮影する場合があります。
ストレス撮影は一瞬ですが非常に痛いです。
撮影時にはずすもの
- 湿布 など
「足」のレントゲン撮影
どんなときに撮影するのか?
足の骨と足の趾の骨を調べることを目的とした検査になります。
足・足の指などが痛いときに撮影します。
手首と同じように倒れたときに骨折が多く、特に「小指(第5趾)のつけ根」の骨折が多いです。
撮影手順
足のレントゲン撮影は、「寝た状態」か「座った状態」で行います。
湿布がある場合ははがします。
撮影時にはずすもの
- 湿布 など
他にもたくさんあるレントゲンの撮影方法
今回まとめたものは、レントゲン画像の中のほんの一部にすぎません。
脊椎の撮影についても、頸椎の画像しか載せていませんが、他に胸椎・腰椎・仙骨・尾骨があり、撮影方法ももっとたくさんあります。
それだけ、患者さんの病状や症状に合わせていろいろな撮り方をしているということです。
ケガをしない限り、なかなか撮る機会のないレントゲンですが、雰囲気だけでもわかってもらえたらと思います。