病院には、看護部門・リハビリテーション部門・放射線部門・薬剤部門などたくさんの部門が設置され、それぞれのセクションごとに医療サービスの提供を行っています。
その中にある「放射線部門」では、患者の病状や症状に対して、正確な診断と治療を行うために必要な画像診断を行っています。
この画像診断にあたっては、複数の撮影機器をを用いて検査を行いますが、一部を挙げると下に記載したものになります。
放射線部門における検査
病院の放射線部門では下に記載した検査が実施されています。
- X線検査
- 透視検査
- 骨密度検査
- 超音波検査
- CT検査
- MRI検査
- SPECT検査
- PET検査
現在では、ほとんどの病院やクリニックのホームページを見れば、どのような装置を設置してあり、どのような画像診断を行えるのかを確認することができます。
ですが、実際にどのような検査を行うのかは分かりづらい部分もあります。
なので、放射線部門にある画像診断装置がどのような検査を行っているのかを簡単にまとめました。
X(エックス)線検査
X(エックス)線検査は、レントゲンの検査の中で最も簡易的に行うことができる検査になります。
病院では、よく一般撮影(単純撮影)とも呼ばれています。
他のレントゲンの検査に比べ、簡易的に行うことができる検査であるため、まず単純X線撮影を行い、必要性があれば他の検査を追加で行うことが多くなります。
みじかにある単純X線検査としては、健康診断で行う胸部レントゲン撮影があり、検診車が会社や学校などに出向き、撮影を行っているのをよく見かけます。
透視検査
透視検査は、体の透視映像を見ながら必要な部分のレントゲン写真を撮影します。
健康診断で行われている胃透視検査がよく知られています。
胃透視検査では、胃を膨らませた状態で、バリウムを飲み、胃の形や壁の状態を検査しています。
透視検査は、その他にも、手首の骨折をしたときなどに骨を整えて固定する際に使用したり、内視鏡検査のときに体の中にある内視鏡の位置を確認する際に使用したりします。
骨密度検査
骨密度検査は、骨の強さ(骨密度)を調べる検査になります。
最近よく聞く骨粗鬆症(こつそしょうしょう)を調べることができます。
骨密度の検査は、若い方では検査をすることはほとんどありません。
骨密度が急激に減少する出産後や閉経後の女性や高齢者に対して行います。
検査自体は、簡単であり、寝台に寝るだけで行うことができます。
超音波検査(エコー検査)
超音波検査(エコー検査)は、X線を使用せず超音波を使用して検査を行います。
そのため、放射線の被ばくはなく安全に検査を行うことができます。
簡易的な検査の意味合いが大きいので、エコー検査を行って、何か異常が見つかれば、CT検査やMRI検査を行います。
よく行われているエコー検査として、首にある血管を調べる頚部エコー検査や妊娠中の胎児の状態を調べたり、肝臓や腎臓などのお腹の臓器を調べる腹部エコー検査があります。
CT(コンピュータ断層撮影)検査
「CT(コンピュータ断層撮影)検査」は、X(エックス)線を利用して体の輪切りの写真を撮る検査になります。
X線検査と同じようにX線を使用して撮影を行いますが、被ばくの量はCT撮影の方が100倍ほど大きいです。
そのため、簡易的に行うのではなく、X線検査や血液検査などで何か異常が疑われるときに撮影します。
CT検査は、X線検査に比べ被ばく量が多い分、得られる情報量も大きく、得られた情報をもとに様々な断面の画像や3D画像を作成することも可能です。
また、造影剤という薬を使用して、通常では撮影することのできない血管の画像を描出することもできます。
MRI(核磁気共鳴画像)検査
「MRI(核磁気共鳴画像)検査」は、磁力を利用して体の輪切りの写真を撮影する検査になります。
磁力を利用するので、もちろんX線による被ばくはありません。
CT装置と見た目はとても似ていますが、X線を使用するCT装置と磁力を使用するMRI装置では、まったく異なる検査になります。
MRI装置では、装置自体が強い磁力を発しています。
そのため、MRI装置を置いている部屋には金属類を持ち込むことは禁止されています。
ヘアピンやクリップなどの小さいものであっても、装置に引き寄せられ、車椅子などの大きなものが装置についてしまった場合には、男性の力でも引き離すことが不可能になってしまいます。
MRI装置は、磁力の強さに種類があり、その強さによって検査部位が異なります。
SPECT(単一光子放射断層撮影)検査
「SPECT検査」は、一定の臓器に集まる放射線が出る薬を体内に注射し、臓器から放出される放射線を装置で計測する検査になります。
少し分かりづらいですが、肝臓に集まりやすい薬や骨に集まりやすい薬など、特定の臓器に集まりやすい薬を注射します。
薬を注射したあとは、一定時間、自分自身から放射線が放出されることになります。
そのため、決められた時間は自由に行動できず、検査室に隔離されることになります。
注射された薬は、おしっこや便から排出されるため、検査が終了すれば帰宅することができます。
PET(ポジトロン断層法)検査
PET検査も、SPECT検査と同じように特定の臓器に集まる薬を注射して、体から放出する放射線を特定の装置で収集する検査になります。
ただ、SPECT検査と異なる部分は、注射する薬から放射線が放出される時間が極端に短いという部分です。
そのため、PET検査をする施設においては、その施設内において、薬を作る必要があります。
そこまで、準備が大変な検査がなぜ行われているのか、それはPET検査で使用する薬は、腫瘍や癌に特異的に集まるものであるため、全身に癌があるかどうかを確認することができるからです。
放射線科で行う検査|まとめ
放射線部門には、患者の病状を調べるために多くの検査機器が配置されています。
SPECT装置やPET装置などの特殊な検査機器については、大きな病院でないと設置されてはいませんが、CT装置やMRI装置、超音波装置などは、クリニックでもおいているところがあります。
それだけ、身近にある病院やクリニックで専門的な検査が受けられるようになったということです。
ただ、ここで気を付けたいのは、装置があるから検査を受けられるわけではないということです。
あくまでも、その検査が必要かどうかの判断をするのは、診察をする医師になります。
病院を受診する方の中には、自分でこの検査を受けると決められて受診する方がいますが、医師が症状や病状を診て、必要性がないと判断した場合には、検査を行わないこともあります。
あくまでも「病院に装置がある=検査を受けられる」ではないということを理解しておきましょう。